一般財団法人日本規格協会が発表した新たな報告によると、2025年7月1日にISO/FDIS 22002-1:2025及びISO/FDIS 22002-100:2025の英・日対訳版が発行される予定です。この規格は、食品産業において重要な役割を果たす食の安全をより強固にするための前提条件プログラム(PRP)として設計されています。これにより、HACCPの考え方を取り入れた食品安全管理がさらに推進されるでしょう。
HACCPとは、Hazard(危害)Analysis(分析)Critical(重要)Control(管理・制御)Point(点)の頭文字を取った食品安全を確保するための方法論です。これは、原材料の受け入れから製品の出荷に至る全ての工程における危険を分析し、その危険を防ぐための衛生マネジメント計画を立て、実施し、記録するものです。日本においては、1995年頃からこのHACCPの普及が進んできましたが、そのほとんどが任意の制度でした。ですが、世界的には多くの国でHACCPが制度化されており、これに伴い日本も2018年6月に食品衛生法を改正し、2020年6月にはHACCPに基づく衛生管理が制度化されました。この改革により、ISO 22000の重要性が一層際立ってきています。
ISO 22000規格は、コーデックスHACCPを骨格とするマネジメントシステム規格であり、その適用範囲は広く、大小を問わず多くの事業者にとって有効さを持ちます。この規格は、安全な食品を提供するために最適な手段とされており、今後の食品提供業者には必須のものになるでしょう。ISO/FDIS 22002-1:2025の文書は、食品製造における食品安全ハザード管理のためのPRPの設立、実施、及び維持に関する具体的な要求事項を定めています。この書類はFDIS(最終国際規格案)にあたります。
英・日対訳版は、税込価格10,692円で提供され、A4サイズで全34ページとなる予定です。これに加えて、ISO/FDIS 22002-100:2025についての英・日対訳版も発行される予定で、こちらは税込13,166円で62ページの内容となります。この規格は、食品安全マネジメントシステム(FSMS)の重要な一環として、食品、飼料、包装材のサプライチェーン全体にわたる共通の要求事項を規定しています。
この新しい国際規格の導入は、日本の食品産業がグローバルな基準に適応し、持続可能かつ安全な食品生産を推進するために不可欠です。特に、これからの食文化や食の安全に対する意識が高まる中で、企業はこの規格を活用し、国際的な競争力を高めていくことが求められます。
また、これに関連する書籍も市場に登場しており、食品安全マネジメントに関心のある方々にとって貴重な資料となることでしょう。例えば、『ISO 22000:2018食品安全マネジメントシステム要求事項の解説』や、『わかりやすい食品安全マネジメントシステムの内部監査の手順』などがあり、企業や事業者がより質の高い内部監査を行うための知識を提供しています。
このような新しい規格の発表は、日本の食品産業にとって新たな挑戦であると同時に、消費者にとっても安全で信頼性の高い食の選択肢を提供するための大きな一歩となることでしょう。食品業界が未来に向かって進化していく様子を、私たちも注目していきたいと思います。