女性の力を示す第5回羽ばたく女性研究者賞
2023年6月4日(木)、駐日ポーランド共和国大使館において、第5回羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)の授賞式が盛大に執り行われました。この賞は、日本における女性研究者の顕著な業績を認め、さらなる活躍を奨励することを目的に設立され、今年で5回目を迎えます。主催は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)で、選考には優秀な外部有識者が関与しました。
最優秀賞には、黒木祐子氏が栄誉を受けました。彼女は、Intesa Sanpaolo AI Researchに所属するデータとAIの研究者であり、情報科学の専門知識を生かして「不確実な状況でも、より良い判断を導く」数理解明の研究を進めています。特に統計的機械学習の領域で新たなアルゴリズムを開発し、効率的な判断を可能にする方法を探求しています。
雪晴れの中、奨励賞を受賞した小林天美氏は、東北大学の医学イノベーション研究所で、アルツハイマー型認知症に関する革新的な研究を行っています。彼女は、RNAという非常に小さな分子がタウたんぱく質に影響を与えるメカニズムを分子レベルで探求し、認知症治療に寄与する新しい道を切り開こうとしています。
また、山口そのみ氏も奨励賞を受賞し、がん免疫学に関する研究を深めています。細胞の内部での分子的な情報のやり取りを探求し、生命の根源的な判断原理に関する重要な知見を発表しています。
特別賞には、ノートルダム大学の森本真里子氏が選ばれ、免疫系の動きを調整する新たな化学的手法に関する研究が高く評価されました。彼女の研究により、病気に対抗するための次世代の医療が開かれることが期待されています。
JSTの理事長、橋本和仁氏も賞の意義を強調しました。「受賞者の皆様の活躍は、日本における女性研究者の道を切り開くものであり、次世代の研究者が情熱を持って進んでいくための大きな励みになります」と語りました。
受賞者の研究内容
黒木祐子氏の研究
黒木氏は、限られた情報の中から重要な関係性を見出すことに挑む研究です。不確実な状況においてもどのように効率的な学習を行い、より良い判断に近づけるのか、そのアルゴリズムは今後の科学研究において重要な役割を果たすでしょう。彼女は、実験回数が制限される環境における数理的アプローチを模索しています。
小林天美氏の研究
小林氏は、タウたんぱく質の異常な凝集が認知症に関与することを解明し、RNAの小さなかけらとの関連性に光を当てました。新たに開発した観察技術により、脳内での変化を可視化し、神経細胞の健康を保つ方法に一歩近づいています。
山口そのみ氏の研究
山口氏は、細胞内の小さな分子が情報をどのようにやり取りし、細胞が適切に反応を変えているかを探る研究を行います。彼女の成果は、命の根底にある判断のメカニズムに新たな光をもたらし、未来の医療やバイオ技術への応用が期待されます。
森本真里子氏の研究
森本氏は、免疫系のスイッチを切り替える研究を行い、病気に対抗するために必要な体の反応を巧妙に操作する手法を解明しています。これにより、医学の新たな地平が開かれることを期待されています。
このように、羽ばたく女性研究者賞は、日本の女性研究者が科学技術の分野でどれほど重要な役割を果たしているかを示す明確な証となっています。賞の受賞者たちはそれぞれの分野で革新をもたらし、未来の研究環境を築く力を持っています。