大和ハウスとアライアンス・レジデンシャル社の新たな挑戦
大和ハウスグループは、次世代の賃貸住宅市場を見据え、アライアンス・レジデンシャル社の35%の持分を取得することを発表しました。これにより、同グループは米国におけるネットワーク強化と提案力向上を狙い、地域密着型の賃貸住宅開発事業をさらに推進する構えです。
持分取得の背景
大和ハウスグループは、2026年度を最終年度とする「第7次中期経営計画」において、海外事業での売上高1兆円、営業利益1,000億円を目指しています。この計画の中で特に強化されるのが、米国市場での賃貸住宅事業です。2011年から始まった米国での賃貸住宅管理・運営の実績をもとに、テキサス州やワシントンD.C.近郊での大型物件開発を進めてきました。
現在までに17件、5,675戸を展開し、さらなる事業拡大を狙っています。特にアライアンス・レジデンシャル社は、米国における賃貸住宅市場で非常に高い地位を持つ企業であり、全米16州、39都市圏に19拠点を展開しています。そのため、この持分取得はますます重要な戦略的パートナーシップといえるでしょう。
アライアンス・レジデンシャル社の実績
設立は2000年、アリゾナ州スコッツデールに本社を置くアライアンス・レジデンシャル社は、その株式非上場のまま急成長を遂げてきました。同社の主力事業は賃貸住宅の開発・取得、建設請負、サプライチェーンマネジメントの三つです。特に、富裕層向けの「Broadstone」、ワークフォース住宅の「Prose」、高齢者向けの「Holden」など、多彩なブランド展開が特徴です。2022年には、61棟、13,169戸を着工し、全米賃貸住宅開発事業者ランキングで第1位を獲得しました。
環境への配慮
さらに、アライアンス・レジデンシャル社は環境問題にも積極的に取り組んでおり、自社の建設過程で使用する製品やプロセスを見直し、廃棄物削減や省エネ化を進めています。これにより、品質を保ちながらも持続可能な開発を目指す姿勢が評価されています。
今後の展望
米国は今後も人口増加が予測されており、長期的に住宅需要が続くことが期待されています。具体的には、2040年には米国の総人口が3億5,531万人に達し、住宅供給の強化が急務とされています。アライアンス・レジデンシャル社は、2025年から2028年にかけて115棟、約30,000戸の賃貸住宅開発を計画しています。
結論
大和ハウスグループにとって、アライアンス・レジデンシャル社の持分取得は、自社の米国市場における競争力をさらに高める重要なステップです。多様なブランドと成長意欲を持つ同社との提携を通じて、地域密着型の開発を加速し、賃貸住宅市場での地位を強化していくことでしょう。これからの展開に注目が集まります。