近日、東京都で開催された「第26回Child Issue Seminar」は、10代の居場所をテーマにした意義深いイベントとなりました。このセミナーは、認定NPO法人3keysが主催し、社会や教育、行政が連携して、子どもたちの現状とそのニーズにフォーカスを当てることを目的としています。セミナーでは、基調講演を行った早稲田大学の阿比留久美教授が、現代の子どもや若者たちが抱える過小なつながりや過剰な支援の問題について言及し、特に居場所づくりに関する政策の必要性や意義を強調されました。阿比留教授は、子どもたちが本当に求める「居場所」とは何かを考える際、大人たちの期待の影に埋もれてしまわないよう注意を促しました。
続いて、港区の子ども若者支援課の矢ノ目真展課長による「高校生世代の居場所づくり事業」の中間報告が行われ、高校生ターゲットのリアルな声やニーズについて具体的な提案がありました。特に「ひとりで過ごせる居場所」の重要性が語られ、自分のペースで過ごせる空間が、彼らの成長にとってどれほどの意義を持つのかが強調されました。
また、3keysの代表である森山さんによるフィンランドのユースセンター視察の報告も注目されました。フィンランドでは、若者の権利保障を「ユースワーク」と捉え、彼らの居場所を大切にしています。森山さんは、ヘルシンキの中央図書館「Oodi」の機能や役割についても詳しく説明し日本との違いを際立たせました。このように、異国の事例を基にした視点は参加者たちにも大きなインスピレーションを与えたようです。
第2部では、再び阿比留教授が登壇し、他の講師との協力を通じて「子どもたちの本音を聞き取り、彼らが本当に必要としている居場所」を探るためのクロストークが行われました。この議論を通じて、思春期特有の非交流型のニーズについても共有され、参加者たちは多様な視点で考察を深めました。
セミナーを通じて、多くの参加者が自らの理解を深めただけでなく、社会全体での支援のあり方について考えるきっかけも得られたようです。感想の中には、居場所を固めるのではなく、より包括的な地域づくりが求められているとの意見もあり、参加者たちの今後の活動に影響を与える内容となりました。
このセミナーが、思春期世代の抱えるさまざまな生きづらさを解消する居場所の議論を広げる手助けになればと願っています。
開催した3keysは、子どもたちの支援だけでなく、教育の啓発活動にも力を入れています。今後もこのようなセミナーを開催し続け、社会全体で子どもの権利が尊重される環境を整えていくことが求められています。
【セミナー開催概要】
■日時:2024年11月8日(金)14:00~17:00
■場所:TIME SHARING 新宿御苑前 8階-A
■参加費:1,000円(アーカイブ動画は11月28日より配信)
このセミナーを通じて、10代の居場所のあり方を考える契機として、多くの人々が参加することを期待しています。