テレワークと体力
2025-12-10 12:34:47
テレワークがもたらす体力低下の真実とは?
テレワークの普及と体力低下の関係
新型コロナウイルスの影響で、テレワークが急速に広まりました。働き方の多様化は大変有意義ですが、一方で新たな健康問題が浮上しています。「公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所」、「びわこ成蹊スポーツ大学」、「東京医科大学」の研究チームによって行われた調査が、その実情を詳しく示しています。
研究の背景
研究の出発点は、長時間のテレワークが健康に与える影響の解明です。多くの職場では、通勤が不要になり、身体を使う機会が格段に減少しました。この傾向は、特にオフィスワーカーに顕著に現れています。テレワークを導入した企業が増える中、柔軟な働き方が部下の健康を未曾有の脅威にさらすかもしれないという危機感が生まれました。
研究の目的と方法
研究の参加者は、東京都内の建設局で働くオフィスワーカー93名、平均年齢39.9歳です。彼らは、テレワークの頻度に基づいて、「テレワークなし」、「週1日以下」、「週2〜3日」、「週4日以上」の4つのグループに分けられました。それぞれの身体組成、体力、身体症状を測定することで、テレワークの影響を評価しました。
体力は、椅子立ち上がりテストを用いて評価し、参加者が30秒間に何回立ち上がれるかを計測しました。また、身体症状は「SSS-8」というアンケートを使用し、腰痛や関節痛などの症状を定量化しました。
研究結果の概要
調査結果は明白でした。テレワークの頻度が増すほど、椅子から立ち上がることが難しくなる傾向が見られました。具体的には、「週4日以上」のグループは「テレワークなし」グループに比べて、椅子立ち上がり回数が4.3回少ないことがわかりました。この差は約10歳の体力差に相当すると言われています。
一方、全身の筋肉量や体脂肪率にはそれほど差がないことが確認されました。しかし、テレワーク頻度が高まるほど自覚的な身体症状が増加することが判明し、特に16点以上の重度な症状を訴える人が多いことが観察されました。
研究の意義と今後の展望
本研究は、テレワークの普及が私たちの身体にどのような影響をもたらすのかを客観的に示しました。テレワークによって体力が低下し、身体的な不調が増加する傾向があることが明らかになりました。この研究成果は、企業や研究機関にとって非常に重要な意味を持っています。
研究を取りまとめた甲斐裕子副所長は、「テレワークの健康影響についてのデータは不足していましたが、この研究はその一歩となります。今後、テレワークがもたらす健康問題を解消する具体的な対策を講じていくことが求められます」と語っています。
健康的な働き方を実現するためには、テレワーク環境の見直しが必要です。デスク周りの整頓や定期的な運動を取り入れることで、健康的なテレワークの実践を目指す必要があります。企業担当者に向けた「健康に配慮したテレワーク実践ガイドアクティブ・テレワークのすすめ」も出版され、無償で公開されています。これは、今後のテレワークの在り方を考える上で、重要な手引きとなるでしょう。
まとめ
テレワークは多様な働き方を実現する可能性を秘めています。一方で、身体的な健康においては注意が必要です。健康的なテレワークを実現するために、私たち一人ひとりが環境を見直し、適度な身体活動を行うことが求められています。働き方改革が進む現代、私たちが健康で充実した生活を送るために、積極的に行動を起こしましょう。
会社情報
- 会社名
-
公益財団法人 明治安田厚生事業団、びわこ成蹊スポーツ大学
- 住所
- 電話番号
-