2024年第4四半期・東京オフィスマーケットレポート
2024年10月から12月にかけての東京オフィスマーケットについて、コリアーズ・インターナショナル・ジャパン(以下、コリアーズ・ジャパン)が発表したレポートの内容をお届けします。このレポートでは、東京の主要5区におけるグレードAオフィスビルの賃貸市場の状況と今後の見通しが詳しく分析されています。
空室率と賃料のトレンド
今回のレポートによると、2024年の第4四半期における東京のオフィスマーケットでは新たなオフィスビルの供給がないにもかかわらず、43,000坪を超えるネットアブソープションが記録されました。その結果、空室率は2.7%まで低下し、特に都心部の優れた物件には空きがほとんど見られません。市場は依然として貸主に有利な状況が続いています。
さらに、建設費の上昇や労働力不足が影響し、テナントの移転に伴う内装工事の費用が増加し、工期が長引く傾向にもあります。このため、新しく建設されたオフィスビルへの移転を決めたテナントは、契約から実際の移転までにほぼ1年近くかかる場合もあります。
今後の供給については、2025年には2024年の約2倍のオフィスビルが供給される予定ですが、堅調な需要が見込まれているため、これらの新築ビルの平均テナント内定率は2024年竣工の物件よりも高い水準になると期待されています。
多くの企業が事業を拡大し、人員を増強する計画をしている中、高立地で良好な環境のオフィスに対する需要はこの先も続く見込みです。しかし、都心部の優良物件の空室は減少しているため、この需要は少しずつ都心周辺部にも広がりを見せています。
エリア別の動向
丸の内・大手町エリア
このエリアでは空室率が前期より低下し、2.3%と非常に低い水準を保っています。また、賃料は45,200円/坪で横ばいの状態が続いています。
日本橋・八重洲・京橋エリア
空室率は前期より下がり、1.9%に達しました。賃料は前年の3.4%増加し、43,300円/坪という高水準に上昇しています。東京駅前の大規模再開発の進展が、エリアの競争力を高めています。
赤坂・六本木エリア
このエリアでは空室率が14.0%まで上昇しましたが、賃料は32,300円/坪で前年より1.5%の上昇を見せています。
品川・港南エリア
空室率は前期よりも低下し2.6%に改善しました。また、賃料も27,300円/坪で2.3%の上昇を記録しています。交通利便性の高さが再評価され、需要も堅調に推移しています。
渋谷・原宿エリア
このエリアの空室率は前期よりも低下しており2.6%となっています。賃料は41,400円/坪で2.0%の上昇を見せています。IT企業を中心とした需要の強さに支えられ、高い賃料水準でも需要は続いています。
西新宿エリア
空室率は前期より低下し5.1%となりましたが、賃料は28,200円/坪で横ばい状態です。改善傾向にあるものの、他の主要エリアと比較すると市況回復のスピードはやや遅いとのことです。
まとめ
コリアーズ・ジャパンが発表した「東京オフィスマーケットレポート」は、東京主要5区のグレードAオフィスについて詳細に分析されています。今後の市場動向についても興味深い情報が提供されており、オフィスマーケットに関心のある方にとって有益な内容となっています。