多摩北部医療センターが再生医療の新たな扉を開く
多摩北部医療センターは、食道がんの患者さんに向けた新しい再生医療の取り組みを発表しました。この取り組みでは、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を受けた患者に自身の細胞を使った食道再生上皮シートを用いて食道狭窄治療を行います。これは食道がんの治療における新たな選択肢となるでしょう。
食道がんの現状
日本では、食道がんに罹患する人は年間約26,000人、亡くなる方も11,000人にのぼります。治療においては、低侵襲な内視鏡治療も普及していますが、術後に狭窄が起きる可能性が高まるため、患者にとっては身体的・精神的な苦痛を伴うことも少なくありません。そこで、再生医療が注目されているのです。
再生医療による治療の内容
この新しい治療法は、ESDを予定している患者や、すでに術後に狭窄が発生している患者を対象としています。具体的には、患者自身の口腔粘膜組織や血液を培養して細胞シートを作成し、それを内視鏡で創傷部分に移植するという手法です。この技術は、株式会社セルシードによって製造され、厳密な品質管理が行われています。
治療の効果と期待される成果
この再生医療による治療によって、創傷の治癒が早まり、その後の狭窄の抑制が期待されます。患者の身体的な負担の軽減が図られるだけでなく、食事の通過障害の改善も期待されます。ただし、この治療による効果には個人差がありますので、全ての患者に同じ成果が得られるわけではありません。
治療にかかる費用
この細胞シートによる治療は自由診療であるため、健康保険が適用されず、費用は患者自身が全額負担します。一連の診療や治療には約400万円が想定されており、患者にとっての金銭的な負担も大きいと言えるでしょう。
担当医師と治療開始日
この新しい治療法は、令和7年6月4日から開始され、消化器外科の大木岳志医師が担当します。信頼できる医師のもとで、最新の医療技術が導入されることは、多くの患者に光明をもたらすことでしょう。
まとめ
多摩北部医療センターが行う再生医療は、食道がん治療の新たな展望を示しています。患者にとっての身体的負担の軽減や生活の質の向上を目指すこの治療法は、今後多くの人々に希望を与えることでしょう。再生医療がもたらす未来に期待が高まります。