海上保安庁とダイヤ工業の共同開発の新たな試み
岡山県岡山市に本社を置く医療用品メーカー、ダイヤ工業株式会社は、2022年に海上保安庁との共同開発を開始しました。その目的は、船舶でのロープの引っ張り動作を補助するアシストスーツの開発です。このプロジェクトは、現場のニーズを満たすために始まりました。
背景と目的
共同開発のきっかけは、東京で行われた「農業WEEK」の展示会で、海上保安庁の関係者がダイヤ工業のブースを訪れた際に現場での課題を認識したことにあります。特に、巡視船艇の乗組員が行う離岸作業において、シンカー索を引き上げる際の身体的負担が大きいことが問題視されていました。また、近年のアシストスーツの多くは重さを持ち上げることに特化しており、引っ張り動作には適していないため、これに着目した開発が進められました。
このプロジェクトにより、引っ張る動作に特化したアシストスーツを2023年から開発。2025年2月には本格導入される予定です。
製品に込められた工夫
開発されたアシストスーツは、以下のような革新的なデザインと機能を持っています:
- - 滑り止め手袋:摩擦の強い素材で作られており、ロープを握る際の滑りを低減。クッション性の高い素材で引っ張り力を分散させ、腕の負担を軽減します。
- - 腕ベルト:非伸縮素材を使用しており、引っ張る力が骨盤に直接伝わります。
- - アシストベルト:骨盤部を固定するために設計され、前面と背面は非伸縮素材で構成されています。
これにより、作業時の負荷を大幅に軽減し、作業者の身体的負担を軽減することが期待されています。
展望と応用可能性
今後は、引っ張り動作においてだけでなく、重量物の持ち上げ作業などにも応用が可能です。特に、船上で必要とされる救命衣や防寒着を着用した状態での装着性も考慮されており、実用性が高い評価を得ています。
また、このアシストスーツは土木現場やその他の物流現場においても導入が期待されており、労働者の負担軽減に貢献することでしょう。
日本人間工学会 第66回大会での発表
ダイヤ工業の発表は、2025年5月21日から23日にかけて北九州国際会議場で開催される日本人間工学会第66回大会にて行われます。そこで、アシストスーツの開発に関する詳細な研究結果が発表される予定です。
参加情報
- - 発表日時:2025年5月23日(金)10:50~11:45
- - 会場:G会場(3階33会議室)
こうした取り組みが、作業現場での効率化と安全性向上にどのような影響を与えるのか、ますます注目が集まります。今後の進展に期待しましょう。