新しい半導体材料「NbAlN」の発表
東京理科大学の先進工学部に所属する研究チームが、遷移金属ニオブ(Nb)を含む極性ウルツ鉱型窒化物半導体「NbAlN」を開発しました。この材料の作製は、GaN基板上に単結晶エピタキシャル薄膜として初めての成功を収めたものです。
研究背景
ウルツ鉱型半導体は、高出力や高周波デバイスの材料として非常に注目されています。従来、AlNやGaNを基にした構造に遷移金属を取り込むことは難しいとされてきました。今回の研究では、Nbを新たに取り入れ、金属的な結合を保ちながら極性を維持することに成功しました。
研究の成果
研究チームによると、NbAlN薄膜はNbを23%含み、約25nmの厚さであり、GaNと同じ金属極性を持つことが確認されました。また、NbAlNをバリア層として利用した場合、AlN/GaN界面の電子密度が3倍以上に増加するという結果が得られました。これは、NbAlNが持つ分極効果によるもので、今後の電子デバイスの性能向上に寄与します。
エピタキシャル成長の詳細
反応性スパッタエピタキシー技術を用い、研究者たちはさまざまなNb含有量のNbAlN薄膜を成功裏に成長させました。この過程で見つけたことの一つは、25%までのNb含有量であれば、きれいな表面と整合した結晶構造を保てるということです。しかし、37%を越える Nb含有量では結晶品質が低下しました。この知見は、今後の材料設計において重要な情報です。
結晶構造と電子特性の評価
原子レベルの観察を通じて、NbAlNの結晶がどのように成り立っているのかを調査しました。特に、Nbが多く存在するナノ領域があっても、結晶格子の連続性を保ちながら、GaNと同じ金属極性を維持することができることが確認されました。
また、NbAlN/AlGaN/GaNというヘテロ構造でのホール効果測定によれば、電子の移動度も非常に高く、室温時には約1485 cm² V⁻¹ s⁻¹に達しています。
今後の展望
この研究の成果は、遷移金属を含む極性窒化物半導体の設計に新しいアプローチを提供し、高性能な電子デバイスの開発に繋がると期待されています。特に、NbAlNのデバイス性能について、今後の詳細な解析やトランジスタの試作が重要です。これにより、さらに高出力かつ高性能なデバイスの実現が可能になるでしょう。
結論
今回の研究は、専門ジャーナル「Advanced Materials」に掲載され、世界的に注目されています。東京理科大学の小林准教授は、「Nbの特性を活かし極性窒化物の新たな可能性を切り開いた」と述べています。今後、さらなる研究が進むことにより、次世代の電子デバイスの基盤材料としての使用が期待されます。