イエメンで行われているテロリスト更生プロジェクト
イエメンは、2011年の「アラブの春」以降、深刻な人道危機に直面しています。具体的には、長引く内戦が原因で400万人以上が国内避難民となり、数万人が命を落としています。それに加え、今年1600万人が飢餓に苦しんでおり、これは「世界最悪の人道危機」と称されています。特に注目すべきは、武装勢力の影響を受けやすい若者たちです。18歳前後の若者や子供たちが勧誘を受け、武装組織に加入するケースが増加していますが、彼らが一度組織に加わると、その後の社会復帰は極めて困難です。
「DRRプロジェクト」の立ち上げ
そこで、NPO法人アクセプト・インターナショナルは、2018年からソマリアで成功を収めた「DRRプロジェクト」をイエメンでも実施することを決定しました。このプロジェクトは、テロリストの脱過激化と社会復帰を目的とした取り組みで、過去には130名以上の脱退を促す成果を上げてきました。その手法をイエメンに適用することで、武装組織に参加してしまった若者や子供たちの新たな未来を切り開こうとしているのです。
社会復帰に向けた実践的なプログラム
「DRR Project in Yemen」では、フーシ派などの反政府勢力から投降した若者に対して、職業訓練やカウンセリングを含む再教育プログラムを実施しています。具体的には、15歳から26歳までの若者たちを対象に、心理的なサポート、地域社会との和解を促進し、過激思想に繋がりやすい宗教的な教育を見直すなど、包括的なアプローチが取られています。また、ソーラーパネルを活用した職業訓練も提供され、独自のスキルを学ぶことで雇用機会を広げることが目的です。
今後は、2ヶ月間のプログラムを週5回実施し、年内には120名の若者を対象に受け入れる計画です。これは、彼らの社会復帰をサポートするために重要なステップとされています。
RPAモデルとその意義
このプロジェクトの基盤となるRPAモデルは、「Re-define(再定義する)」「Prepare(準備する)」「Action(行動する)」の三つのステップから成り立っています。このモデルにより、過去に過激化した人々が社会再融和できる環境を整え、武装組織からの投降者を増やすことを目指しています。特に重要なのは、一方的な矯正ではなく、個々の経験や背景に耳を傾ける対話を通じたアプローチです。これにより、若者たちのマインドと行動を変えていくことが可能になります。
記念すべき10周年
7月には、「9.11同時多発テロ」から20年という重要な節目を迎えるアクセプト・インターナショナルの創立10周年に関連して、「テロや武力紛争に関わる若者の権利宣言(案)」を公開するイベントを開催します。ここでは、これまでの活動を振り返り、今後の展望を示し、国際的な連携を図る取り組みが発表されます。このような活動を通じて、テロや紛争のない未来を創るための重要な一歩を踏み出すことが期待されます。
アクセプト・インターナショナルの理念
私たちは、現状のテロや紛争が蔓延する中で、それらを排除するのではなく、受け入れるアプローチが重要と考えています。過去の経験や痛みを理解し、共感をもって接することで、暴力の連鎖を断ち切り、持続可能な平和を築くことができると信じています。
公式サイト
詳細については、
アクセプト・インターナショナルの公式サイトをご覧ください。また、イエメン事業への支援やDRRプロジェクトについての情報もここで確認できます。