高齢者の歩行測定法
2025-09-29 14:14:31

高齢者の歩行調整能力を簡便に測る新手法の開発について

高齢者の予測的な歩行調整能力を測る新しい手法



高齢者が日常生活で安全に移動するためには、周囲の状況を視覚的に把握し、それに応じて歩行の調整を行うことが不可欠です。この能力を「予期的歩行調整能力」と呼びますが、加齢に伴いこの能力が低下することが知られています。その結果、高齢者は思わぬ転倒を引き起こすリスクが高まります。

既存の課題


通常、高齢者の予測的歩行調整能力を評価するためには、三次元動作解析システムといった高額な設備が必要です。そのため、大規模な転倒防止調査においては、その評価が難しいという課題がありました。そこで、国際的に広く用いられている「Timed Up and Go test(TUG)」に少しの改良を加えることで、この評価を簡便に行う新手法を考案しました。

Timed Up and Go testの活用


この研究では、TUGを基にした新しいバージョン「障害物TUG」を開発しました。TUGでは、対象者が椅子から立ち上がり、3メートル先の目標を通り抜けて椅子に戻るというシンプルな課題が課されますが、これに障害物を加えることで、より複雑な動作調整が求められるようになります。具体的には、障害物2本を回避しながら可能な限り速く椅子に戻ることを求めました。

研究方法と結果


本研究では、高齢者38名と若齢者24名を対象に実施しました。障害物の間隔は参加者の肩幅を基に4段階に設定し、参加者は自らの判断で「通過」か「迂回」を選ぶことが求められました。分析の結果、興味深いことに、高齢者は開口部が広い場合でも「迂回」を選ぶ傾向が見られました。それは、隙間を通過する動作が難しいからです。また、どちらの方法でも、高齢者は歩幅と歩隔を狭める特徴が確認されました。

課題の意義


この研究の結果、高齢者は環境の変化に応じて柔軟に行動を調整することが難しいことが示されました。言い換えれば、高齢者は効率的な行動よりも、身体的な安定性を優先して選択しやすい傾向があります。この発見は、今後の転倒予防研究の重要な情報となるでしょう。

研究の展望


将来的には、障害物TUGを利用して、虚弱な高齢者や脳卒中患者を対象とした転倒リスク評価やその予防策に応用が期待されます。また、この手法を用いることで、より多くの高齢者の健康維持に寄与することができるでしょう。今後の研究に期待が寄せられます。


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