営業人材育成に苦悩する現場、AI活用の実態を探る
株式会社aileadが実施した調査によると、全国の営業職300名を対象にした「営業人材の育成・マネジメントとAI活用に関する実態調査」が行われ、約7割の営業職が「育成・マネジメントに課題を感じている」という結果が明らかになりました。この調査を通じて、多くの企業がAIを業務効率化ツールとしてのみ利用している現状が浮き彫りになりました。
調査結果の概要
課題感の存在
調査結果では、営業職の63.4%が人材育成やマネジメントに難しさを感じています。特に「スキルのばらつき」が59.6%で最も多くの回答を得ており、次いで「育成リソースの不足」(32.7%)や「属人化」(29.2%)が続いています。これにより、営業教育が個人の経験や直感に頼る傾向が強いことが確認されました。
AIの個人活用状況
個人でAIを活用している営業職はわずか7%にとどまっています。実験的な利用を試みるものの、業務における定着は1割未満という厳しい現実があります。AI活用がまだ「個人レベルの小規模な実験」に留まっているという状況が続いています。
利用されるAIツール
一方、個人が使用しているAIツールの中で、約6割が「ChatGPT」であり、他の営業専用のAIツールの導入が限られているとされています。AIを業務に活用する体制が整っていない現状がうかがえます。
効果の実感
AIの個人活用に関する効果については、約7割が「業務効率化」には効果を実感しているものの、人材育成や速成化についてはそれぞれ約4割にとどまっています。つまり、“人が育つAI活用”が進んでいないのです。
組織的なAI活用の実態
組織的なAI活用は全体の4割を超えていますが、その詳細を見ると、「全社導入」はわずか10%で、「部分導入」が33.3%です。多くの企業が導入を検討しつつも、本格的な定着には至っていないことが明らかになっています。
将来への展望
株式会社aileadの杉山代表取締役は、「属人化やスキルのばらつきが営業人材育成において大きな課題である」と指摘します。個々の業務にAIを活用するだけでなく、組織全体として成長するための知識の共有や育成に向けた取り組みがより重要になると語ります。
AI活用の真価は、生産性を高めることだけではなく、組織全体の知識を資産にしていくことにあります。これからの営業組織は、単に「人がAIを使う」だけでなく「AIを通じて組織が成長する」という新たな段階への進化が求められています。
まとめ
調査結果から、多くの営業職が組織内でのAI活用が不十分と感じており、それにより育成や管理の課題が顕在化していることが確認できました。AIという新たな技術を活用し、効率化だけでなく人材育成やナレッジの共有を促進していくことが、今後の営業組織には重要なテーマとなることでしょう。営業人材育成の現場が抱える問題を解消するために、AIの活用がどう進化していくのかが注目されます。