新型コロナウイルスが引き起こす貧困増加、世界で5億人が影響受ける
新型コロナウイルスが引き起こす貧困増加の危機
国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)が発表した最新の研究報告書は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、世界中で5億人もの人々を貧困に陥れる危険性を指摘しています。この現象は、1990年以来初めて貧困が世界的に増加することを意味しています。この報告書の著者であるキングス・カレッジ・ロンドンのアンディ・サムナー氏、エドゥアルド・オルティス=フアレス氏、オーストラリア国立大学のクリス・ホイ氏は、今回の貧困増加が過去10年間の努力をすべて無駄にする恐れがあると警告しています。
貧困削減の目標が脅かされる
UNU-WIDERのクナル・セン所長は「この報告書は、国連が掲げる2030アジェンダの持続可能な開発目標(SDGs)の達成が大きな危機に晒されていることを示しており、特に最貧層の人々の生活と生命を守るためには、開発機関や各国政府、市民社会、民間セクターが結集する必要がある」と強調しています。
この報告書は、特に貧困層に影響を与える要因として、1人当たりの消費が20%減少する可能性を挙げています。この場合、すでに4億人から6億人の貧困層が増える見込みです。さらに、消費の減少が10%や5%に留まった場合でも依然として貧困の増加が懸念されています。地域や国ごとに異なる影響も予測されています。
国際社会の対策が求められる
国際非営利組織オックスファムは、EUおよびG20の会合を前に、リーダーたちに「全ての人のための経済救済計画」を実施するよう呼びかけています。具体的には、2.5兆ドルの緊急援助パッケージ、1兆ドル規模の債務の即時取り消しや延期、1兆ドルのIMFにおける特別引出権の積み増し、追加で5,000億ドルの援助が必要だとしています。
社会的セーフティネットの必要性
キングス・カレッジ・ロンドンのアンディ・サムナー教授は、この研究の結果が示す重要性について言及。「COVID-19が開発途上国にもたらす貧困の影響について驚かされており、早急に社会的セーフティネットを拡大する必要性が明らかになった」と述べています。加えて、国際社会が開発途上国に対して提供できる支援について、これまで以上に関心を持つ必要があると示唆しています。
結論
新型コロナウイルスの影響は、貧困層の拡大を引き起こす深刻な危機です。国際社会が協力し、迅速な対策を講じることが求められています。この状況を打破するためにも、援助計画の実施が急務となっており、最貧層の人々の生活を守るために行動が必要です。
会社情報
- 会社名
-
国際連合大学
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前5-53-70国際連合大学 広報部 11F
- 電話番号
-
03-5467-1212