海の可能性を探求する旅
2025年6月29日、福井県福井市の越廼サテライトオフィスにて、「ざわザワ高校 ~海の未来をつなぐ哲学~」の第1回授業が実施されました。このプログラムは3年目を迎え、参加者には福井県内の高校生17名と地域ゲストが含まれています。講師にはジャーナリストの堀潤氏と哲学者の岩内章太郎氏が参画し、年間テーマに沿った「海の新しい可能性」を探求する旅の第一歩を踏み出しました。
思考のプロセスの重要性
この授業の大きな特徴は、哲学対話という方法論にあります。第1部のテーマは「嫉妬の本質とは?」です。このテーマを通じて、生徒たちは互いの感情や経験についてフラットに対話を進めました。初対面の緊張感を抱えつつも、自身の経験を踏まえて率直に「嫉妬」について語り合う姿勢が印象的でした。生徒たちは「憧れを抱く気持ち」や「努力が実らないことへのモヤモヤ」などの内面的な感情を分かち合い、共感や新たな疑問を引き出しました。
ファシリテーターとしての堀潤氏は会話を巧みに進行し、岩内氏が投げかける問いを通じて、生徒たちは心理的安全性を確保しながら本音を語ることができました。この対話の中からは、ネガティブに見える「嫉妬」の陰に隠れた向上心や自己認識が見え隠れしました。これが哲学対話の本質観取のプロセスであり、思考を解放する貴重な時間となりました。
地域の現実と疑問を交えたディスカッション
第2部では授業の舞台を山と海が交わる越前海岸へ移し、地域のプロフェッショナルたちがゲストとして参加しました。生徒たちは、地元の「くにみクラゲ公民館」と「鷹巣定置」を取材した映像を視聴し、地元の活力を知りました。その後、授業は「不安の本質とは?」をテーマに哲学的な対話を続けました。漁業の未来や進路に対する不安など、各自の立場から見える「不安」を語り合い、世代を超えて共通する感情に迫っていきました。
参加者の感想から得られる学び
この授業を経験した参加者からはさまざまな声が報告されました。ジャーナリストの堀潤氏は「競争心が嫉妬を生むが、それをコントロールすることでエネルギーを生む可能性に気付いた」と話しました。また、哲学講師の岩内章太郎氏は「一人では難しい思考が、他者との対話によって可能になることを実感した」と述べました。高校生たちも「異なる考えを知ることで自分の価値観が広がった」と振り返り、年齢を超えたフラットな意見交換が有意義であったと感じています。
授業最後に示された未来のヒント
授業の締めくくりには、福井市が新たに展開を計画する観光企画「海めぐりガチャ」が紹介され、その中から新たな「可能性」を具体的なアクションに繋げる指針が示されました。哲学対話を通じて得られたインサイトは、今後の活動にも多大な影響を及ぼすことでしょう。
次のステップへ
「ざわザワ高校」が目指しているのは、単なる課題解決ではなく、海や地域の新たな可能性を見出すことです。この授業で得た気づきは、生徒たちが成長し、社会に発信していくための大きな糧となります。今後の展開から目が離せません。