2026年度卒業生の新卒採用状況と今後の展望
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区)が発表した「2026年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」の結果が明らかになりました。今回はこの調査をもとに、各企業の採用意欲や新しい採用手法について考察していきます。
採用充足率の低下と今後の計画
調査によると、2026年卒業生の採用充足率は69.7%となり、過去の調査結果と比較して最低の数値を記録しました。これは、現行の採用スケジュールが始まった2017年以降、最も低い数字です。これに対して、2027年卒業生向けの採用計画を持つ企業のうち、81.3%が「計画を実施する」と回答しており、前年よりも増加傾向にあります。
ただし、採用予定数については、現状を維持する傾向が見られています。特に「今年度並み」という回答が74.5%を占め、「増やす」という企業は前年よりも減少しています。これは高い人手不足の中でも、企業が採用数を増やすことに慎重な姿勢を示していることを反映しています。
就職ファストパスという新たな採用手法
さらに注目すべきは、選考を辞退した学生が将来的に中途採用を受ける際に優遇される「就職ファストパス」と呼ばれる制度の導入です。この制度を実施している上場企業は約10%に達し、前年からは9.3ポイントも増加しました。これは、選考プロセスで接した学生を中途採用の候補としてプールする企業が増えていることを示しています。選考プロセスでのブラックボックス化を減らす目的もあると考えられます。
AIの影響とその予測
一方、AIによる業務効率化や代替の影響についての調査も行われました。回答者の57.7%が「現時点では新卒採用数への影響はないが、将来的には不明」と回答しており、次いで「影響はまったくない」との回答が21.4%、さらには「今後影響がありそう」との意見が20.8%ありました。
特に官公庁・団体などの業界では、AIによる業務代替の懸念が高まっており、67.9%が今後の影響に対して不安を感じていると答えています。しかし一方で、効率化の進展が新たなビジネスチャンスを生むという意見もあり、AIとともに雇用を生み出せる可能性も論じられています。
調査を受けた専門家の見解
最後に、調査担当者であるマイナビキャリアリサーチラボの長谷川洋介氏は、新卒採用が過去最低の充足率を記録する中で、多くの企業が人材獲得に苦戦していることを指摘しました。また、企業が「就職ファストパス」制度など、中長期的な採用に結び付けようとしている姿勢に関しても言及しています。
AIの影響についてはさまざまな見解がありますが、今後はAI技術の進展に伴い、企業と学生が共存できるような新たなスキルを持った人材の必要性が高まるという考えを示しています。
このように、2026年卒業生の新卒採用状況を通じて、企業と求職者のニーズが変化している様子が浮き彫りになりました。今後もこの変化に敏感に反応し、新たな対策を講じることが重要です。