バイオームと大東建託の新たな試み
日本の大手不動産会社である大東建託と、生物多様性に関するデータと解析技術を持つバイオームが、2025年10月から生物多様性を考慮した「ネイチャーポジティブなまちづくり」へ向けて協力を開始します。この取り組みは、両社の資源を融合させて新しい形の地域づくりを実現しようとするものであり、より持続可能な社会の実現を目指しています。
ネイチャーポジティブの概念とは
「ネイチャーポジティブ」とは、単に環境への配慮を進めるだけでなく、実際に生物多様性を増加させることに重点を置いたアプローチです。大東建託は、日本各地で展開するまちづくり計画において、バイオームのビッグデータを活用します。これにより、地域特有の誘致目標種を見定め、その選定に基づく植栽提案や施工が行われます。
具体的な取り組み内容
今回の協働では、様々なステップを踏んで生物多様性を保全する計画が詳細に設定されています。まず、大東建託は計画地周辺の生物調査を実施し、既存の生物相を把握します。次に、バイオームの解析技術を駆使して、その地域に適した生物の選定が行われ、選ばれた種を誘致・保全するための具体的な施策が設計されます。
具体的には、バイオームの助言を受けた上で、大東建託が地元に適した樹種の選定や植栽の設計を行うほか、地域住民との交流イベントを通じて生物多様性への理解を深める機会を設けます。こうした試みは、まちびらきの後も続き、引き続き地域住民とのつながりを強化することを目的としています。
特に初回の計画として、千葉県千葉市でのまちづくりが予定されています。ここでは、地域の自然環境を視察しながら、具体的な生物誘致のための施策が講じられる予定です。
未来のエコロジカルネットワーク
大東建託は、ただ単に住宅を建設するだけではなく、環境保全に対する意識を高めるための新しい技術や施策を模索し続けています。これには、2023年からのTNFDフォーラムへの参画や、2024年には在来植物を50%以上使用する外構コンセプト「めぐる とまりぎ」を策定するなど、具体的な取り組みがあります。
また、バイオームは今後、賃貸住宅における緑化施策をはじめとした地域のエコロジカルネットワークの可視化に向けた活動も視野に入れています。これにより、より多くの地域が生物多様性の保全に向けた取り組みを意識し、実践することが期待されます。
結論
大東建託とバイオームの協力による「ネイチャーポジティブなまちづくり」は、地域を支える新しい形のモデルケースとなることでしょう。生物多様性の重要性がますます高まる中、両社が連携して持続可能な地域づくりを実現する姿勢は、多くの自治体や企業も見習うべきものです。この試みが次世代へと引き継がれることを願い、注目していきたいと思います。