競馬界のリアルを描く新たな一冊
日本の競馬ファンにとって、サラブレッドは特別な存在です。彼らが誕生し、競走馬としてのキャリアを積む姿に魅了される一方で、引退後の彼らの運命はあまり知られていません。そんなサラブレッドたちをテーマにしたノンフィクションの新刊が12月10日に出版されます。その名も『サラブレッドはどこへ行くのか 「引退馬」から見る日本競馬』。
競馬業界が抱える課題
本書では、競走馬として生まれた約7000頭のサラブレッドのうち、年間5000頭が中央競馬に登録され、最終的には約1万頭が登録を抹消されるという現実に迫ります。競走馬としての人生を全うした後、彼らは一体どこに行くのでしょうか?運命を追ったのは、映画『今日もどこかで馬は生まれる』の監督である平林健一氏です。彼は綿密な取材を基に、サラブレッドの過酷な現実を描き出しています。
平林健一氏の思い
平林氏によると、馬の一生を知ることは、これからの競馬の未来を考えることでもあるといいます。現役生活の裏側や引退後のセカンドキャリア、さらにはその後の生活の選択肢まで、サラブレッドの命を懸けた冒険を追います。その過程で、引退馬支援の重要性や新たな産業の可能性についても触れ、視点を広げています。彼自身も引退馬支援をライフワークとしており、その情熱が本書に表れています。
競馬界からの推薦
この本は、JRA調教師の福永祐一氏からも推薦されています。彼は公共の場で「もう目を背けてはいけない現実がある」と語り、競馬の未来のためにホースマンが読むべき一冊として本書を紹介しています。これは競馬界のタブーに挑むものであり、業界内外からの高い注目を集めています。
目次から見える広がり
本書は、以下の章立てで構成されています:
- - 隆盛を極める日本競馬
- - 馬はいかに「競走馬」になるか
- - 生き残りを懸けてサラブレッドの現役生活
- - 引退後に進む道
- - 生かすことだけが幸せか
- - 命と経済
- - それでも生かすために
- - ハンドルとエンジン
- - リーダーを育て、共に歩む私たちにできること
各章では、それぞれのテーマが深く掘り下げられ、競馬に寄せるさまざまな情熱や思いが込められています。
試し読みも可能
興味がある方は、NHK出版デジタルマガジンで「はじめに」の全文を試し読みできます。平林氏が引退馬を追い始めた動機や、愛する競馬への思いが特に印象的です。この本を手に取ることで、競馬の新たな視点を得られることでしょう。
商品情報と購入リンク
この一冊を通じて、競馬の未来、そして引退馬の生命の大切さについて考える機会を持ちたいですね。