新たな医療の形、遠隔診療システムの導入
2023年、MUSVI株式会社とAMI株式会社が戦略的パートナーシップを締結しました。この提携によって、AI技術を活用した医療の提供が進むことが期待されています。特に、高齢化が進む日本において、心疾患に対する早期発見・診断が求められています。この背景には、地方や離島で専門医の不足が深刻化しているという現状があります。
高まる医療ニーズの背景
日本では、高齢者人口が増えているため、心不全や弁膜症を含む心疾患の患者が増加しています。しかし、特に地方や離島では、その分野の専門医が不足しており、適切な初期診断や迅速なスクリーニングが難しい状況です。慢性疾患の発見が遅れることで、重症化や緊急搬送のリスクが増大するという課題があります。
問診と聴診の重要性
心疾患の早期発見には、熟練した問診と聴診が欠かせません。病気の初期段階では、心音に異常が現れることがあります。この段階での丁寧なコミュニケーションが、生活習慣改善の必要性や初期兆候の発見につながります。オンライン診療においても、リアルな問診と明確な聴診が求められるため、過去の取り組みからその重要性が浮き彫りになってきました。
一般的なテレビ会議ツールでは、リアルなコミュニケーションが難しいという課題がありますが、「窓」を利用することでその壁を乗り越えます。患者は医師との対話を通じて安心感を得ることができ、医師も患者の声や表情をしっかりと理解することができます。
提携の内容と実現方法
本提携によって、AMI社が開発したAI搭載のデジタル聴診器『超聴診器』とMUSVIのテレプレゼンスシステム「窓」が組み合わさり、専門医が不在の地域でも遠隔医療提供が可能になります。
1. 離島やへき地の医療従事者が「超聴診器」を用いて心音や心電データを取得し、PCを通じて「窓」に接続します。
2. 都市部にいる専門医は、「窓」を介してリアルタイムでデータを確認し、必要な指示を行います。
3. 取得されたデータは、クラウドへ自動アップロードされ、AIによるデータ解析が瞬時に提供されます。
期待される効果
この新しい遠隔診療モデルの導入により、以下のような効果が期待されています。
- - 専門医不在地域でのスクリーニングの実現: 専門医の指導のもと、地域での心疾患スクリーニングが行えるようになります。
- - 初期診断の迅速化: 早期発見が病気の重症化を防ぎ、医療コストも削減します。
- - 患者負担の軽減: 長距離移動や搬送の必要を減少させられます。
- - 地域医療の均一化: 医療アクセスの格差を是正し、地域包括ケアの推進に寄与します。
今後の展望
今後、MUSVIとAMI両社は、介護施設や在宅医療など、医療の必要とされるさまざまな場面に適用していく計画です。また、国際的な展開も視野に入れ、世界中の医療の質を向上させる活動に貢献していく意向を示しています。
AMI株式会社 代表取締役CEOの小川晋平は、「これが心疾患の早期発見や地域医療の格差解消に向けた大きな一歩であり、誰もが質の高い医療にアクセスできる社会を目指しています。」とコメントしています。
MUSVI株式会社 代表取締役 阪井祐介は、「窓」を利用したリアルなコミュニケーションを通し、医療課題の解決に貢献していくことを明言しています。離れていても信頼できる医療を提供する新たなシステムが、日本の医療の未来を変えていく時代に突入しています。