住宅セーフティネット法改正、新たな課題と展望:全居協シンポジウムが熱気を帯びる
2024年5月に改正された「住宅セーフティネット制度関連法」は、住まいを求める人と賃貸住宅の家主や不動産業者といった家を貸す人との間を取り持つ「居住支援法人」の役割を強化しました。この法改正に向けた今後の展望と課題について、一般社団法人全国居住支援法人協議会(全居協)が6月29日に開催した定時社員総会と記念シンポジウムは、活発な議論の場となりました。
シンポジウムには、全居協社員のほか、関係者など150人が参加。国土交通省、厚生労働省、法務省といった関係官庁の担当者と、居住支援活動にかかわる当事者が、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の大月敏雄教授をコーディネーターに迎え、パネルディスカッションを行いました。
住まいを求める人、貸す人、双方にとって安心できる「すまい」を
改正法では、新たに「居住サポート住宅」が創設されるなど、居住支援法人の役割が大きく期待されています。しかし、一方で、居住支援に対する社会的な認知度は依然として低い状況であり、施策が本格化できていない地方自治体も多く存在するというのが現状です。
シンポジウムでは、関係官庁から法改正の概要とそれに伴う政策のロードマップが示されました。しかし、当事者からは「活動の原資を確保するにはどうしたらいいのでしょうか」「地方自治体の認識が不十分に感じます」といった課題が続々と指摘されました。
行政と当事者、連携による更なる発展へ
全居協の村木厚子会長は、「居住支援の認知は少しずつ高まっており、法整備も進んでいます。行政と当事者が率直に話せる今回のような議論が各自治体でできれば、さらに前進できると感じました。今後は、そのための情報提供などサポート体制を強めていきたいと思います」と語りました。
今回のシンポジウムは、住宅セーフティネット法改正後の居住支援法人の役割や課題、そして今後の展望について、関係者間で具体的な議論を深める貴重な機会となりました。行政と当事者双方の意見交換を通して、より効果的な居住支援体制の構築に向けた取り組みが期待されます。