スマートフォンで高精度にジャンプ力を計測できる新技術『JumpEye』の開発

スマートフォンアプリ『JumpEye』によるジャンプ力計測の革新

株式会社S-CADE.は、慶應義塾大学の研究チームと協力し、スマートフォンを使用してジャンプ力を簡単かつ高精度に計測する新しいアプリ『JumpEye』を開発しました。これにより、従来の測定法に比べて多くの利点が得られるようになります。

組織的背景と開発経緯

近年、アスリートのパフォーマンスを向上させるために、ジャンプ高の測定がスポーツ科学の領域でデータとして利用されるようになってきました。従来の計測方法には「力積法」と呼ばれる非常に高精度な方法がありましたが、その特性上、使用するための装置が大型で持ち運びが不便になります。加えて、専門知識が要求されるため、限られた環境でしか使用できませんでした。

そのため、簡便な方法として注目を集めたのが「滞空時間法」です。この方法は軽量な機器を利用するため、誰でも気軽に試せる一方で、数センチメートルもの過大評価の問題が指摘されていました。しかし、すでに多くの研究で、滞空時間法が持つ過大評価の問題を解決する必要があったのです。

修正滞空時間法の導入

新たに開発された『JumpEye』アプリでは、ジャンプ中のセグメント変位を基に、滞空時間とジャンプ高をより正確に算出するための「修正滞空時間法」を採用しました。この手法により、スマートフォンのカメラを通じてジャンプの離地時の大転子位置を確認し、その後の滞空時間からジャンプ高を正確に算出します。

研究方法と成果
実験では、24人の男性にマーカーを装着し、地面反力計を使用して全力での垂直跳びを実施。その動作をスマートフォンで撮影し、解析することで修正滞空時間法の妥当性を検証しました。これによって算出されたジャンプ高は、従来の方法と比べても誤差がわずか0.2cmであり、正確性が確認されました。

スポーツ現場での応用と期待

この新技術により、スポーツにおけるアスリートのコンディション管理が大幅に改善されることが期待されています。簡単に利用できる『JumpEye』アプリによって、今後は競技スポーツのトレーニング現場においてもアスリートのパフォーマンスをより正確に可視化し、向上に寄与することができるでしょう。日常的にスマートフォンを利用して簡単にデータを得られることは、アスリートや指導者にとって非常に大きな便益となるはずです。

今後の研究と展開

現在は、最も一般的なカウンタームーブメントジャンプの測定に限定して評価が行われていますが、今後はさらなる検証を通して、異なるジャンプ動作に対しても修正滞空時間法の妥当性を証明していく予定です。期待される応用範囲は広く、さまざまなスポーツでの実践が待たれます。

この技術はいずれ、アスリートだけでなく、一般の人々にも健康やフィットネスに役立つ可能性があります。利用者が自宅で手軽にジャンプ力を計測でき、自己改善のサポートを受けられる未来が実現することを目指しています。