太陽光パネル技術
2025-09-29 14:14:34

太陽光パネルのカバーガラスから希少元素を効率的に抽出する新技術の発表

2030年代に向けた太陽光パネルからの資源回収技術



国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と中部電力株式会社は、太陽光パネルのカバーガラスから希少元素であるアンチモン(Sb)を抽出する革新的なプロセスを開発しました。この技術は、2030年代後半に訪れる太陽光パネルの大量処理の課題に応えるものであり、エネルギー効率の良いアンチモンの回収を可能にすることを目指しています。

開発の背景


太陽光パネルは、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて重要な役割を果たしていますが、特にカバーガラスに用いられるアンチモンは高い透明性を提供するために必要不可欠な要素です。しかし、アンチモンは希少元素であり、多くが輸入に頼っているため、その供給は不安定です。2030年代には大規模な太陽光パネルの耐用年数が到来し、カバーガラスの処分が求められると同時に、アンチモンの分離や再利用が重要な課題となります。

新技術の概要


研究チームは、水熱処理と呼ばれる手法を用いて、カバーガラスに含まれるアンチモンの抽出に成功しました。このプロセスでは、ガラスが結晶化する過程でアンチモンが結晶構造に取り込まれない特性を活かし、最低限の温度で水熱処理を行い、結果として約80%のアンチモンが抽出されることが確認されました。

具体的には、使用済み太陽光パネルからカバーガラスを剥がし粉砕、その後、密閉容器で水と混ぜて攪拌し、一定時間水熱処理を施しました。この処理により、抽出されたアンチモンは液相に留まることができ、効率的な回収が可能となります。

研究の重要性


この新技術の意義は、資源循環型社会の構築に寄与する点です。カバーガラスからのアンチモン回収の実用化により、環境負荷を減少させ、持続可能な社会への移行を促進します。また、2025年に開催される中部電力のテクノフェア2025では、この技術の詳細が展示される予定であり、業界関係者からの注目が集まると予想されます。

今後の展望


今後、研究チームは、抽出メカニズムのさらなる理解を深め、高効率なアンチモン抽出方法およびスケールアップを進めていく予定です。また、抽出したアンチモンを元にしたリサイクル技術の開発や、結晶化したガラス粉末の有効活用も視野に入れています。これにより、同技術が広く普及し、次世代の持続可能なエネルギー利用の基盤を築くことが期待されます。

まとめ


太陽光パネルのカバーガラスからアンチモンを効率的に抽出する技術は、2030年代の大量処分問題に対し明確な解決策を提供するものです。この取り組みを通じて、私たちは持続可能な資源利用社会の実現に近づきつつあります。今後の進展に注目が集まることでしょう。


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