角幡唯介の新たな挑戦『地図なき山』
探検家としての名声を築いてきた角幡唯介氏による最新の著作『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』が、2024年11月20日に出版されることが発表されました。この作品は、彼が持つ独自の冒険観を再び再考させるものとなっています。
地図なしでの冒険が教えてくれたこと
これまで「脱システム」をテーマに様々な冒険を通じて新たな発見をしてきた角幡氏。最新作では、日高山脈を舞台に地図なしでの登山という過酷な試みに挑みます。彼は現代社会の情報に満ちた生活が果たして本当に満足のいくものなのか疑問を持ち、それに対抗するために地図を持たずに大地と向き合う決断をしました。
迎え撃つ自然の厳しさ
日高山脈の冒険は、想像以上に重圧を伴ったものとなります。著者は非常に厳しい自然環境に直面し、予期せぬ障害に次々と直面します。特に眼前に広がる高低差70mの大滝を前にしたとき、運勢に身を任せることを決意した彼は、成功が見えないその瞬間に道を引き戻しました。これは彼にとって、先が見えない恐怖を伴う重要な経験となり、その後も数年にわたって心に残る出来事となります。
再挑戦の意味
最初の試みから3年後、再び日高の山に挑戦した角幡氏。その結果、彼が見たのは以前とは全く異なる山の表情でした。この再挑戦は、彼自身の価値観を大きく変えるものでありました。「地図なし登山」という過酷な体験が、彼の心にもたらした変化は何だったのか。彼の言葉を通じてこの物語を感じてほしいと思います。
目次
- - はじめに: よりよく生きるために地図を捨てた
- - 第一章: 旅立ちの記(2017年夏の記録その一)
- - 第二章: 漂泊論~地図なし登山への道
- - 第三章: 裸の山に震え慄く(2017年夏の記録その二)
- - 第四章: 新しい道を見つける(2020年夏)
- - 第五章: 巨大な山に登る(2021年夏)
- - 第六章: ラストピークをめざす(2022年夏)
- - あとがき
著者のこえ
「前代未聞の登山記です。誰もが想像できない世界が描かれています。情報があふれる現代では、地図を持たずに山を登ることで、全く異なる感覚を得ることができます。完全に情報が失われる中で、人はどのように戸惑い、自由と不安を抱えるのかを考えさせられる登山でした。」
著者紹介
角幡唯介(かくはた・ゆうすけ): 1976年北海道生まれの探検家・作家。チベットのヤル・ツアンポー峡谷での単独探検や、北極探検など独創的な冒険活動で知られる。近年は、エスキモースタイルの長期旅行を実践し、多数の賞を受賞している。
書籍概要
- - タイトル: 地図なき山――日高山脈49日漂泊行
- - 著者名: 角幡唯介
- - 判型: 四六判(288ページ)
- - 定価: 2,310円(税込)
- - 発売日: 2024年11月20日
- - ISBN: 978-4-10-350232-6