【新たな視点で柳宗悦を知る】
日本の思想界で一際大きな足跡を残した柳宗悦(やなぎ そうえつ)。民藝運動の先駆者として知られる彼の生涯を描く新刊『柳宗悦美を生きた宗教哲学者』が、この度NHK出版から刊行されました。著者は若松英輔氏。本書では、柳の思想の源泉や民藝への深い情熱が、時系列に沿って紹介されています。
柳宗悦は、日常的に使われていた雑器の美しさにその命を見出しました。彼は「民藝」という言葉を生み出し、その美が人々の心に癒しと救いをもたらすと信じました。本書は、彼がどのようにして民藝の美を見出し、その重要性を広めていったのかを詳しく解説しています。
【本書の構成】
本書は大きく二部に分かれており、第I部では前半生に焦点をあてています。第一章から第六章では、柳の原点やそれまでの探索を辿りつつ、民藝誕生の背景に迫ります。特に、「美は人々を待っている」という章では、彼の考える美の主張が華々しく展開されます。 柳の原点が、目には見えないものを探し求める探究心にあったことを示しています。
第II部では後半生に入ります。ここでは、琉球文化との関係や手仕事の意味、真の美を探し続ける姿が浮き彫りにされています。特に「救いは誰にも開かれている」という章は、彼の宗教哲学と民藝がどのように結びついているのかを考察しています。これらの視点により、柳宗悦が持っていた美への理想と、それが人々にどのように影響を与えたのかが明らかになります。
【著者紹介】
若松英輔氏は、批評家や随筆家としても広く知られています。彼は数々の賞を受賞しており、柳宗悦に関する研究を通じて、より深い哲学的理解を与えることに貢献しています。彼の視点で描かれる柳の生涯は、これまで知られていた内容に新たな光を当てます。
【結び】
「NHKブックス」シリーズは、日本で最も長い歴史を持つ選書シリーズとして、多くの読者に支持されています。新たな視点で柳宗悦の美の哲学に触れてみてはいかがでしょうか。本書は、民藝の美しさやその背後にある思想を理解し、現代における意義を考える大きな手助けとなることでしょう。
発売日は2025年8月25日で、定価は1,980円(税込)。興味のある方は、NHKブックスの特設ページやAmazonで購入可能です。これからの柳宗悦関連の研究や議論を深める一冊として、多くの読者に親しまれることを期待します。