北海道白糠町のチーズ工房「白糠酪恵舎」への旅
北海道の美しい自然に囲まれた白糠町に位置する「白糠酪恵舎」は、愛情あふれるチーズが生まれる場所です。ここでは、2024年に帯広畜産大学が設立する「ミルク&チーズコンソーシアム」に参加し、初年度の実習を通じて未来を担う若者たちを育てる活動が行われています。
できたてのチーズと手作りバターの直売所
酪恵舎の直売所は、まるで絵本の世界に迷い込んだかのような可愛らしさです。チーズはもちろん季節限定のソフトクリームや手作りバターも評判で、訪れる人々の心をつかんで離しません。ここで作られるチーズは、ただの食べ物ではなく、食べる人々の笑顔を追求する「愛の結晶」なのです。
チーズ作りの始まりと井ノ口氏の情熱
井ノ口和良(いのくちかずよし)さんは、北海道庁で勤めていた過去から、酪農家たちと手を組んでチーズ工房を設立しました。1990年代の酪農家たちによるサークルがきっかけとなり、良質な牛乳が必須であることを理解した井ノ口さんは、仲間と協力して酪恵舎を立ち上げました。「食べる人を幸せにしたい」という理念は、今も変わらず彼らのチーズ作りに息づいています。
乳製品文化の課題とその解決
意外にも、酪農王国とされる北海道には乳製品を食べる文化が根付いていないという現実があります。井ノ口さんはこの文化の欠如に立ちはだかり、チーズを使った郷土料理の提案に取り組んでいます。当初、北海道でモッツァレラチーズを見かけることはほとんどなく、チーズ料理の選択肢も限られていました。そのため、「食材としてのチーズ」を作り出す必要があったのです。
イタリアでの修行がもたらした気づき
井ノ口さんは、イタリアに修行に出向くことで、単なる製法や技術だけでなく、チーズへの理解を深めました。彼は言葉の壁を越え、五感でイタリア文化を吸収し、チーズに対する深い思索を得ることができたと語ります。技術を習得する中で、真のチーズ作りの厳しさと喜びを体感しました。
ミルクの本質とチーズに込められた思い
酪恵舎では「ミルクを活かす」ことが何より大切だと考えています。井ノ口氏は「ミルクは母親の愛そのもの」と表現し、それを技術で実現することが自分たちの使命であると言います。食べものを作る喜び、安全で栄養があるものを提供することへの責任感が、彼らのチーズ作りの中核です。
白糠町の自然と人々の魅力
白糠町の素晴らしさは、手つかずの大自然にあります。美しい星空、豊富な野生動物たち、そして海と山のバランスが絶妙なこの場所は、まさに訪れる人々を魅了する楽園です。井ノ口さんは、星空を見上げながら初めて見た天の川に感動した経験を語ってくれました。ここで作られるチーズは、そんな自然の恵みから生まれています。
チーズを通じて地域の未来を考える
白糠酪恵舎は、地域で酪農が直面している問題にも目を向けています。物価高の現在、チーズの普及が地域経済にも貢献し、さらなる乳製品の消費を促すことが重要だと考えています。また、健康面への意識も高まり、新しいペプチド研究によるチーズの可能性についても注目しています。
白糠町のチーズ工房「白糠酪恵舎」は、愛情たっぷりのチーズを通して、地域の人々とその文化を再発見する素晴らしい場所です。訪れることで得られる多くの体験が、あなたを待っています。興味が湧いた方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。