復活した『ローラちゃん』
2023-08-15 15:16:36
津波からの復活を遂げたピアノ『ローラちゃん』、横浜で感動の音色を披露
ピアノ『ローラちゃん』の感動の復活
2011年に起きた東日本大震災。最も影響を受けた地域の一つ、七ヶ浜では、代表者の実家が津波に飲み込まれ、家屋ごと隣接する敷地まで流されてしまいました。その瞬間、家はもはや一階は存在せず、ほぼ二階部分だけが残る形。そして二階に置いてあったグランドピアノも、流木と瓦礫に埋もれた状態で残されていたのです。
残念なことに、地元の調律師からはそのピアノの修復は不可能だと告げられ、家屋処理業者に「ピアノも一緒に解体してください」とお願いせざるをえませんでした。しかし、その重機作業員は、ピアノに対して特別な配慮を見せ、丁寧に取り扱った後、犠牲となった家の前に優しく置いてくれたのです。
その後、歌手のメティス氏が支援活動中に偶然そのピアノを発見。彼は持ち主を探すと同時に、全国のピアノ修理業者に修復を依頼しましたが、断られることが続きました。そんな中で、横浜のピアノ工房「クラビアハウス」の松木氏が手を挙げてくれました。
松木氏はピアノの水洗いから始まり、細心の注意を払いながら復元作業を行った結果、ついに美しい音色を再び奏でることが可能になりました。この復活したピアノは、震災のメッセージを伝える大切な存在となり、名曲「傷だらけのローラ」に因んで「ローラちゃん」と名付けられました。
見事に復元された『ローラちゃん』は、2017年より毎年開催されている『ローラちゃん音楽祭』の主役に。そして2021年からは、震災の記憶を風化させないために、仙台空港に設置され、来訪者が演奏できるようにされました。このプロジェクトは、NHKや新聞でも取り上げられるなど、注目を集めています。
ピアニストたちも『ローラちゃん』の音を通じて希望を広める企画に参加し、清塚信也氏やハラミちゃんの演奏も大きな反響を呼びました。
今年、まさに関東大震災100年を遺した中で開催される「ぼうさい国体2023」は、震源地である横浜で行われます。東北の小さな町・七ヶ浜の思いを背負う『ローラちゃん』も出展を予定しており、来場者にはこの特別なピアノに触れてもらい、音を奏でていただく機会が提供されます。また、福島県いわき市出身の2名のピアニストによる演奏も予定されています。
このように、『ローラちゃん』は震災の記憶を後世に伝えつつ、希望と感動を与える存在として、これからも多くの人にその音色を届けていくことでしょう。
会社情報
- 会社名
-
あの日を奏でるローラちゃんプロジェクト
- 住所
- 宮城県宮城郡七ヶ浜町東宮浜字崩12-5
- 電話番号
-
080-6002-5005