山形よしだ桐箱店の復活
山形県で長い間桐箱の製造を行ってきた有限会社よしだが、2025年6月に廃業の危機に直面しましたが、伝統工芸の価値を再評価する動きが功を奏し、株式会社山形よしだ桐箱店として新たに始動することになりました。この動きは、手仕事の素晴らしさを広める「ニッポン手仕事図鑑」との協力によって実現したものです。
伝統の技を次世代へ
有限会社よしだは、1930年にその土台を築きました。創業者の吉田長助は木地師としての技能を駆使し、桐箱製作を開始しました。その後、1955年には地元特産品であるさくらんぼの桐箱を考案し、地場産業を支える存在になりました。特に、次世代の吉田長芳が事業を継承してからは、現代のライフスタイルに寄り添った新製品や桐米びつ、ブックケースなどの開発にも積極的に取り組みました。この努力は2015年のグッドデザイン賞や、2019年の「にっぽんの宝物JAPANグランプリ」の受賞にもつながりました。
厳しい現実と新たな挑戦
それにも関わらず、伝統工芸の厳しい現実を前に、有限会社よしだは95年の歴史に幕を下ろさざるを得ない状況になりました。しかし、山形県で唯一の桐箱職人としての技術を残したいという熱意は消えず、株式会社山形よしだ桐箱店を立ち上げました。
この新たなスタートは、ニッポン手仕事図鑑の支援を受け、伝統工芸の価値を高めていく事業を展開する一環としています。この取り組みを通じて、桐箱の新しい価値や利用方法を提案し、皆様にお届けしたいと考えています。
新時代の桐箱を目指して
「よしだ」の名を引き継ぎながら、これまでの伝統を守りつつ、新しい時代のニーズに応えられる製品を創り出す意気込みで再スタートを切りました。特に、同じような境遇にある職人や地域にとって、再生の見本となることができればと願っています。
今後は、創業の地である山形県を出発点に、日本全国へ桐箱の魅力を広めていくことを目指します。既に展開していた商品展開を更に進め、現代のライフスタイルにマッチした製品を提供していきます。そして最終的には、桐箱を「Kiribako」として世界に広め、日本の伝統の素晴らしさを皆様に知っていただくための道筋を築いていきます。
会社概要
この新たな挑戦が、これからの山形の伝統工芸の未来にどう寄与していくのか、今後の展開に目が離せません。