ゼンショーとカゴメの共同研究が示した野菜摂取促進の新しいアプローチ
株式会社ゼンショーホールディングスとカゴメ株式会社は、外食時における野菜摂取量を増やす手法を検証するため、共同で実証研究を行いました。この研究は、ゼンショーが運営するファミリーレストラン「ココス」での取り組みにより、外食環境において健康的な食事を促進する方法を探るものでした。
研究の背景と目的
過去の厚生労働省の調査によると、外食利用の頻度が高い人々は野菜の摂取量が低い傾向にあります。現在、多くの飲食店で多種多様な野菜メニューが提供されているにもかかわらず、消費者の意識や行動が野菜摂取を妨げていると考えられています。そこで、ゼンショーとカゴメは「ナッジ(行動を良い方向へ導く小さな介入)」や野菜摂取量を推定できる「ベジチェックⓇ」を活用し、顧客の野菜メニューの注文を促進する方法を探ることを目指しました。
実証研究の概要
実証研究は、2023年11月1日から30日までの間、首都圏のココス店舗において実施されました。研究では、ナッジを取り入れた掲示物とベジチェックⓇを設置した店舗と、対照となる店舗を比較しました。具体的には、ナッジ掲示物として、ベジチェックⓇの位置を示す床面ステッカー、ナッジを促す漫画を掲載した卓上メニュー、測定結果に基づいた推奨野菜メニューを記載したポスターの3種類が使用されました。
30日間の研究を通じて、ベジチェックⓇの測定率や菜摂取に関する意識調査が行われました。
研究結果
研究の結果、ナッジを活用した店舗では、休日における業態店舗との差を示す形で、推奨野菜メニューの注文率が顕著に高いことが確認されました。ベジチェックⓇの測定率はいずれの店舗でも、平日の約20%、休日の約29%と若干の違いが見られました。また、小学生以下のお子様を伴う来店客において、ベジチェックⓇの測定率が最も高く、測定を行ったタイミングは、注文前と食事後がほぼ半々でした。
ナッジの効果については、ナッジ店舗およびVC(ベジチェックⓇ設置)店舗における野菜摂取意向が共に60%以上であり、特に休日には「今回の食事で実行した」との回答が、約20%を占めています。
今後の展望
この実証研究を通じて、野菜摂取量を推定する機器やナッジを活用することが、顧客に対して野菜メニューの注文を促す効果があることが示されました。しかし、外食における十分な野菜摂取をさらに促進するためには、介入手法のさらなる改良が必要とされます。ゼンショーは、今後もすべての人々が無理なく健康を享受できる食環境を提供する取り組みを続けていくことを宣言しています。
ゼンショーの食と健康への取り組み
ゼンショーは「食で健康!食健ラボ」を通じて、研究を進めており、健康的な食事に関する啓蒙活動や、科学に基づいた健康栄養商品の開発にも力を入れています。今回の共同研究を契機に、外食産業の中での野菜メニューの位置づけや、顧客にとっての魅力を高める新たな取り組みへの期待が高まっています。