女性起業家の安全を守る「たまむすびプロジェクト」
近年、女性の社会進出が進む一方で、特に起業の分野においては依然として深刻な課題が存在しています。それは、女性起業家が約7割が性被害を経験しているという衝撃の事実です。このデータは、江連 & 東の調査を元に株式会社SISTERSが作成したもので、性ハラスメントや性暴力に悩まされる女性起業家の多さを明示しています。
背景と目的
日本のビジネス界では、性差別的な発言に基づくハラスメントも多く見受けられ、約8割の女性起業家がこのような問題に直面しています。特に多くの被害が、同じ起業家や取引先から発生しているという現実があります。これを受けて、株式会社SISTERSと非営利株式会社ピロウは、起業支援の場におけるハラスメント対策を強化するため、共同で「たまむすびプロジェクト」を立ち上げました。
このプロジェクトは、SHIBUYA QWSでの実証実験を通じてその必要性が具体化され、政策提言に加え、研修やガイドライン制作、相談窓口の設置等、包括的な支援を行うことを目指しています。
プロジェクト名の意義
「たまむすび」という名称には、編み物の最初に糸玉を結ぶ行為が象徴されています。このプロジェクトが、起業支援を行う人々が「今、何かを変えたい」と思った時に、その第一歩を踏み出す“最初の結び目”となることを目指しています。これにより、起業家たちが安心して活動できる環境を作るための支援体制を確立していくのです。
提供されるサービス
1.
ハラスメント研修
一般社団法人インパクトシフトの協力により、ハラスメントが発生した場合に「傍観者」にならず、行動を起こす「アクティブ・バイスタンダー」となれるスキルを学ぶ研修を提供します。これはロールプレイを通じて実施し、実際の現場でも適切に対応できる能力を養成します。
2.
ガイドライン制作
アクセラレーションプログラムや各種イベントにおいて、ハラスメントを未然に防ぐための行動規範や発生時の対応策を含むガイドラインの制作支援も行います。ヒアリングを経て、対応策を活用したものを伴走型で作成していきます。
3.
相談窓口支援
このプロジェクトは、株式会社SISTERSが提供する相談窓口も設け、LINEやフォームでの相談を受け付け、専門の相談員が対応します。相談者の心理的安全性を保証しながら、必要な対応を行います。
政策提言と今後の展望
非営利株式会社ピロウは、今回のプロジェクトに基づき起業支援の現場におけるハラスメント対策の政策提言活動も進めています。これにより、今後の行政主導のプログラムにおいてハラスメント対策が基本的な要件となるよう努力を続けます。
さらに、様々な産業でのハラスメント対策の重要性を訴え、定期的に無料相談を実施していくことも決定しています。これは、起業支援の場で多様な人材が安心して活動できる環境を整えるために欠かせない施策です。
結びに
女性起業家の安全を守る「たまむすびプロジェクト」は、単なる支援の一環ではなく、起業支援のあり方そのものを変えていく力を秘めています。今後もこの取り組みを通じて、多くの女性起業家が安心して挑戦できる社会を築いていくことに期待が寄せられています。