インフラ老朽化に立ち向かう新たな技術
最近、株式会社コクリエ(本社:大阪府豊中市)が開発した、インフラ構造物の劣化を遠隔で把握できるIoT検査技術が、専門誌『検査技術』(日本工業出版)に掲載され注目を集めています。この技術は、橋梁や擁壁などのコンクリート構造物に設置され、データを自動で収集して送信する自律型のIoTデバイスを利用しています。
技術の背景と必要性
現在、日本全国で高度経済成長期に整備された社会インフラの老朽化が進んでおり、地方自治体では維持管理のための専門人材や予算の不足が課題となっています。このような状況を受け、より効率的にインフラ点検を行うための仕組みが求められています。コクリエは、「子ども達の未来へ繋ぐ明るい社会インフラを創る」という理念を掲げ、地域や企業、研究機関との連携を通じてソリューションの開発を進めています。
IoT検査デバイスの特徴
コクリエが開発したこのIoT検査デバイスは、以下のような技術構成と特色を持っています。異常発生時や必要に応じたデータ観測を行うため、通信量を抑えつつ低消費電力と低コストを実現しています。
デバイス構成
- - マイコン基板:Arduino Nanoベース
- - センサ群:ひずみセンサ×4、温湿度センサ、リアルタイムクロック(RTC) DS3231
- - 通信モジュール:Sigfox対応モジュール(超省電力LPWA通信)
- - 電源管理:超低消費電力タイマIC「TPL5110」
- - データ記録:EEPROMによるキャリブレーション値・状態保持
主な機能・仕様
- - 計測周期:通常2時間ごとに自動でデータを測定
- - 計測内容:ひずみセンサの中央値、温度・湿度
- - 通信方式:無線でSORACOMクラウドへデータ送信
- - 電源方式:バッテリー駆動(乾電池・リチウム電池等)
- - 稼働寿命:2時間ごとの測定で2〜3年の連続稼働が可能
- - 設置方法:構造物に後付けできる非破壊設置
活用の場面と意義
『検査技術』誌では、橋台傾斜モニタリングや鉄道橋の疲労亀裂モニタリングの事例が紹介されています。このIoTデバイスは以下のようなシーンでの活用が期待されています。
- - 橋梁や擁壁、法面などの劣化モニタリング
- - 公共インフラの計画的点検の補完
- - 異常変位やひび割れの早期発見によるリスク低減
- - 災害後の簡易評価
今後の展望
コクリエでは、2025年4月からこのデバイスの販売・レンタル事業「メタルせんせい」を開始予定です。多種多様なニーズに応えるため、技術の洗練を図り、インフラ維持管理手法の中でモニタリングを重要な選択肢とすることを目指しています。
会社概要
株式会社コクリエは、地域、企業、行政、研究機関との共創を通じて社会課題解決に取り組むスタートアップ企業です。ICTやIoTの技術を駆使し、地方インフラの持続可能な維持管理モデルの構築に挑戦しています。
【お問い合わせ】
株式会社コクリエ
担当:髙﨑
E-mail:
[email protected]
Web:
https://www.co-creative.co.jp/