尿検査で早期すい臓がん発見
2024-11-18 11:24:11

尿検査で早期すい臓がん発見!AI活用で高精度検出を実現

尿検査で早期すい臓がんを発見!AI技術が実現した高精度診断



近年、早期発見が非常に困難なことで知られるすい臓がん。その5年生存率は10%程度と、予後が悪いがんであることから、早期診断技術の開発が強く求められています。この度、Craif株式会社と慶應義塾大学医学部、名古屋大学、複数の医療機関による共同研究で、画期的な検査方法が開発されました。

従来の血液検査を凌駕する精度

この新しい検査法は、患者の尿に含まれるマイクロRNAを人工知能(AI)で解析することで、すい臓がんを早期に、そして高精度に検出するものです。研究では、153人のすい臓がん患者と309人の健常者から採取した尿サンプルを用いて検証が行われ、その結果、従来のすい臓がんマーカーであるCA19-9よりも高い検出精度を示しました。特に、早期ステージ(ステージI/IIA)のがんにおいては、その差は顕著で、感度と特異度の両面で高い性能を発揮することが確認されました。

尿中マイクロRNAの活用

本研究では、尿中に含まれる細胞外小胞由来のマイクロRNAに着目しました。マイクロRNAは、細胞間の情報伝達に関わる小さな核酸物質で、がん細胞もこのマイクロRNAを放出することで、周囲の環境を変化させ、増殖や転移を促進させると考えられています。この検査法は、尿中の細胞外小胞体を濃縮することで、多量のマイクロRNAを抽出し、AIを用いた解析を行うことで、高精度な診断を可能にしています。

機械学習モデルによる高精度検出

研究チームは、尿中マイクロRNAデータを用いて機械学習モデルを構築しました。このモデルは、複雑なマイクロRNAパターンを解析し、すい臓がんを高い精度で識別することができます。この技術により、早期段階のがん細胞からの微弱なシグナルであっても検出できる可能性が広がりました。また、腫瘍微小環境の変化も反映していると考えられており、腫瘍そのものが小さい早期段階でも検出できる点が大きな特徴です。

非侵襲的で簡便な検査法

この新しい検査法は、尿を用いるため、患者にとって負担が少なく、簡便に行うことができます。自宅でのサンプル採取も可能であるため、大規模な集団スクリーニングや、医療機関へのアクセスが困難な地域での早期発見にも貢献できる可能性を秘めています。

今後の展望

この研究成果は、すい臓がんの早期発見に大きな可能性をもたらすものです。今後、さらなる臨床研究を経て、実用化に向けた取り組みが期待されます。この技術が広く普及すれば、すい臓がんによる死亡率の低下に大きく貢献することが期待されます。早期発見が生死を分けるすい臓がんにおいて、この画期的な検査法は、患者の予後改善に大きく寄与する可能性を秘めています。

研究概要

論文名:A noninvasive urinary microRNA-based assay for the detection of early-stage pancreatic cancer: a case control study
掲載誌:eClinicalMedicine
研究機関:Craif株式会社、慶應義塾大学医学部、名古屋大学、北斗病院、川崎医科大学附属病院、国立がん研究センター中央病院、鹿児島大学病院、熊谷総合病院、大宮シティクリニックなど
研究費:先進的医療機器・システム等開発プロジェクト(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)


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会社情報

会社名
Craif株式会社
住所
東京都文京区湯島2丁目25番7号本郷ITPオフィス5階
電話番号

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