組織風土の課題:上司と部下の認識ギャップ、チーム満足度の重要性
近年、企業において「心理的安全性」という概念が注目されています。心理的安全性とは、社員が安心して意見を交換し、創造性を発揮できる環境のことです。しかし、現実には上司と部下の間に認識のずれが生じ、その結果、組織風土に問題が生じているケースも少なくありません。
株式会社スコラ・コンサルトが実施した大規模アンケート調査(5161名対象)の結果、上司と部下の間に大きな認識ギャップがあることが明らかになりました。特に、上司との面談において本音で話せていると感じる部下の割合は55.6%にとどまり、上司の認識(70.0%)を大きく下回っています。この差は、14.4ポイントにも及びます。
上司と部下の認識ギャップ
調査では、職場における様々な場面で本音で話せていると感じる割合について、一般職と管理職の比較を行いました。その結果、上司との面談、チーム会議、職場で上司や同僚に対してなど、多くの場面で、一般職の割合は管理職の認識を下回っていることが判明しました。
特に大きな差が見られたのは、チーム会議や職場の飲み会などの場です。これらの場では、一般職と管理職の認識のずれが20ポイント近くに達しています。一方、上司との面談や職場で上司に対しては、認識ギャップは比較的少なくなっています。
上司への期待と満足度のギャップ
アンケートでは、部下が上司に期待する要素と、実際に上司に満足している要素についても調査されました。その結果、期待と満足のギャップが最も大きかったのは「適切な人事評価」で、29.7ポイントもの差がありました。他にも、「意思決定の迅速性」「業務分担の適切さ」「チーム雰囲気」「リーダーシップ」など、多くの項目で期待と満足のギャップが見られました。
チーム満足度の重要性
注目すべきは、チーム満足度と上司への期待・満足度の関係です。調査結果によると、チームのメンバーでいることに満足している社員ほど、上司への期待と満足のギャップが小さくなっていました。これは、チーム満足度が高いと、上司と部下の良好なコミュニケーションが促進され、認識ギャップを縮める効果があることを示唆しています。
チーム満足度を高める3つの要素
チーム満足度を高めるために重要な3つの要素として、以下の点が挙げられました。
1.
本音で話せる関係: チームメンバー同士、上司と部下の間で本音で話せる関係を築くことが重要です。心理的安全性が確保された環境では、社員は自由に意見を交換し、創造性を発揮することができます。
2.
コミュニケーション頻度: 定期的なコミュニケーションは、チームの結束を強め、情報共有を促進します。1on1ミーティングやチーム会議、カジュアルな意見交換など、様々なコミュニケーション手段を効果的に活用することが重要です。
3.
上司の部下への向き合い方: 上司が部下の相談に乗り、意見や提案を受け止め、適切なアドバイスやサポートを行うことは、チーム満足度を高める上で非常に重要です。
スコラ・コンサルトの解説
スコラ・コンサルトは、今回の調査結果から、チーム満足度向上が上司と部下の認識ギャップ解消、ひいては組織風土改善に繋がる可能性を示唆しています。チームワークの向上により、情報共有がスムーズになり、上司は部下の状況をより深く理解できるようになります。
チーム満足度を高めるためには、「本音で話せる環境」の醸成と「コミュニケーション頻度の確保」が不可欠です。そのためには、単なる掛け声だけでなく、実際に本音で話せるような場づくりや、定期的なコミュニケーションの機会を設ける必要があります。
まとめ
今回の調査は、上司と部下の認識ギャップ、そしてチーム満足度の重要性を改めて浮き彫りにしました。企業は、心理的安全性を確保し、活発なコミュニケーションを促進することで、より良い組織風土を構築していく必要があります。