医療機器市場でのサイバーセキュリティ強化：KELAとシスメックスの新たな取り組み

近年、医療業界におけるサイバーセキュリティの重要性はますます高まっています。特に、サイバー攻撃による情報漏洩や業務の停止が懸念される中、シスメックス株式会社はセキュリティ体制の強化を図り、KELA社のサイバー脅威インテリジェンスを導入しました。このパートナーシップにより、シスメックスは国際的なセキュリティ対策を一元化し、効率的にリスクを管理できるようになりました。

シスメックスとKELAの提携

シスメックスは、医療用検査機器の大手メーカーであり、世界中で正確な診断を支える機器やソフトウェアを提供しています。80年以上の歴史を持つ同社は、国内外でのビジネス展開を行い、安全な医療サービスを提供するためにセキュリティ対策には特に注力してきました。今回、KELAの導入により、サイバー脅威への対応能力が大幅に向上することが期待されています。

KELAは、イスラエルに本社を置くサイバー脅威インテリジェンス企業であり、特にアンダーグラウンドから得られる情報を利用し、企業を守るためのソリューションを提供しています。シスメックスは、KELAの「KELA Threat Intelligence」や他のソリューションを使用し、自社のサイバーセキュリティの堅牢さを新たな次元へと引き上げました。

新しいセキュリティ体制の構築

シスメックスは、2020年に「Sysmex-CSIRT」を設置し、国内外のサイバー脅威に対処する専門チームを形成しました。このチームは、従来のシステム運用保守担当者が兼務する形から、専任のセキュリティチームへと進化しました。KELAのサービスを導入することで、脅威インテリジェンスがデジタル形式で可視化され、リスク評価が容易になりました。

より具体的には、KELAの「ULTRA RED」ソリューションを使用することで、全てのIT資産のリスクを効率的に評価し、脆弱性を素早く特定することが可能となりました。これにより、シスメックスは従来の集中管理から、各拠点でリアルタイムで情報を共有し合いながら迅速な対処を行える体制を整えています。

利用者の声と導入成果

Sysmex-CSIRTのメンバーは、KELAのインテリジェンスを利用して、自社のアセットに関する日々のモニタリングを行っています。ユーザーフレンドリーなダッシュボードにより、発見事項やリスク度合いが一目で把握でき、特に緊急度の高いリスクに迅速に対処できるようになりました。これまでよりも、労力を削減しながら、効果的なリスク管理が実現されています。

また、KELAから提供される攻撃者の情報や流行している攻撃手法に関する最新のレポートを活用し、組織全体のナレッジが蓄積されている状況です。特に、国内でアカウント情報の漏えいが発見された際には、迅速に関連部署にアラートが届き、必要な対策が直ちに実施されました。これにより、セキュリティ体制がより強固になったと実感されています。

まとめ

シスメックスの取り組みは、医療業界におけるサイバーセキュリティの重要性を改めて認識させるものであり、KELAのサポートを受けることで、より安全な医療サービスの提供が期待されています。このパートナーシップは、業界全体のサイバーセキュリティ向上に寄与し、今後の動向にも注目が集まります。おそらく、このような革新技術の導入は、他の企業にも影響を及ぼすでしょう。

さらに詳しい内容やSysmex-CSIRTのチームリーダー井尻盛太氏のインタビューは、こちらからご覧いただけます。