環境に優しい紙素材用水系バリアコート剤の開発
ハリマ化成グループ株式会社が発表した新たな製品、紙素材用水系バリアコート剤は、現代の環境問題に立ち向かうための一助として注目を集めています。この製品は、耐水性や耐油性、耐熱性、防湿性を兼ね備え、さらに環境にも優しいという特徴があります。
環境意識の高まりとバイオマス素材
近年では、プラスチック製品による環境への影響が問題視され、バイオマス素材の導入が進んでいます。この中でも、木材由来の「紙」はカーボンニュートラルの観点から特に注目されています。紙は植林による再生利用が可能な素材であり、樹木が成長中に二酸化炭素を吸収します。しかし、紙はその性質上、水分や油分に弱く、多くの食品包装にプラスチックフィルムでのラミネート加工が施されています。このラミネート加工は、リサイクルプロセスにおいて障壁となり、持続可能性を損なう要因となっています。
バリアコート剤の特長と利点
そこで今回開発されたバリアコート剤は、紙に塗布することでバリア性を付加し、その性能を向上させます。ラミネート処理が不要なため、リサイクルの効率も大幅に向上します。また、この製品は脱プラスチックの動きや、食品包装に占めるプラスチックゴミの問題に対応するために非常に効果的です。特に環境意識が高い欧州や北米市場でのニーズに応える形で、ラミネートフィルムの代替として採用が進んでいます。
バリアコート剤には、松から得たロジンを基にしたバイオマス由来成分が約85%含まれています。これにより、高い性能を維持しながら、環境への負荷を低減することが可能となります。さらに水系素材であるため、製造過程における溶剤の使用を避けることができ、作業環境や人体への負担を軽減します。食品包装材としての適用に際しては、米国FDAやEUプラスチック規則(10/2011)など、さまざまな国の法規制にも対応しており、安全性にも配慮されています。
市場ニーズと未来展望
日本国内でも、プラスチック製フィルムに代わる紙製品の市場は急速に拡大しています。特に食品包装や容器において、脱プラスチックが求められる今、2027年にはその市場が35億円に達するとも予測されています。ハリマ化成グループは、このバリアコート剤の開発を通じて、資源を大切にしながら持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
新しいバリアコート剤は、従来の包装材料を変革する可能性を秘めています。持続可能なライフスタイルを追求する現代において、環境にも優しい選択肢として、これからの包装業界における選ばれるべき材料となることでしょう。私たちの生活の質を向上させ、環境問題の解決に寄与するこの製品に、さらなる期待が寄せられています。