消費者と生産者の距離を縮める公開確認会
埼玉県の蕨市に本部を置く生活協同組合パルシステム埼玉は、12月12日に深谷市の有限会社沃土会で、消費者が青果の栽培履歴を確認できる「公開確認会」を開催しました。このイベントには、全国から73名の参加者が集まり、微生物農法による土づくりを実践する圃場で生産者の説明を受けながら、実際の栽培過程を見学しました。
事前準備と充実した交流
公開確認会は、パルシステムが独自に制定した、全国の産直提携産地を対象とした制度です。参加者は、環境や農薬削減に配慮した生産過程を直接確認し、利用者としての視点から意見を持ち寄ることが求められます。事前に設けられた評価基準に基づいて、監査人となる利用者は栽培履歴や出荷履歴を確認するためのレクチャーを受け、圃場へ向かいました。
会場では、岡部公民館において生産者の小野塚陽輝さん、金井修己さん、矢内源太さんが、自らの取り組みや圃場の特徴についてプレゼンテーションを行いました。参加者はそれぞれの生産者と昼食を共にし、消費者の観点からの意見を交わすことで、双方の理解を深める機会が設けられました。
実地確認とサポート
午後になると、監査人5名は岡部公民館で、茨城県の農事組合法人葉菜野果産直の生産者とともに、実際に各種帳票を確認しました。参加者たちは、特にブロッコリーの圃場を視察し、病害虫防除の対策や栽培環境について、自らの目で確認を進めました。
参加者は確認会の終了後、「品目ごとの栽培日誌が明確に整理されており、理解しやすかった」と評価し、沃土会が今後もさらなる進化を遂げることへの期待を寄せました。生産者側からも、公開確認会の意義が強調され、消費者との関係構築の重要性が再確認されました。
繋がりを大事にする取り組み
沃土会は1980年に設立されて以来、稲わらや油かす、鶏糞などの有機質を土壌に戻し、微生物による分解を活用して、環境にやさしい農業を推進してきました。1983年にはパルシステム埼玉と産直提携を結び、2011年には埼玉産直協議会『農・彩・土』を設立して、生産者と消費者の交流を深め、地産地消の理念を広めています。
年間を通じて行われる「はたけの学校」などのイベントを通じて、消費者との相互理解を深め、信頼関係を築く努力が続けられています。今後もパルシステム埼玉との連携を強化し、持続可能な生産と消費を目指して、地域農業の発展に寄与していきます。
生産者と消費者の橋渡しの役割を果たす沃土会の取り組みは、ますます注目を集めています。私たちの食卓に届くまでの道のりを見つめ直し、より良い食文化を共に創造していく姿勢が重要です。