日本のインパクト投資、2024年度の新たな高みへ
2024年度の調査結果として発表された「日本におけるインパクト投資の現状と課題」によると、日本のインパクト投資残高は17兆3,016億円に達し、前年からの増加率は150%を記録しました。これは、日本国内でのインパクト投資市場の成長を示す重要な指標です。
インパクト投資の新たな潮流
この増加の主要因は二つあります。一つ目は新規参入ではなく、既存のインパクト投資を行っている組織の拡大です。2023年度から継続して回答している50組織は、 συνολικήのインパクト投資残高が4兆1,194億円となり、全体増加額の約72%を占めました。
二つ目は、銀行および生保業界によるインパクト投資の拡大です。インパクト投資残高が5兆7,602億円増加したうち、実に94%が大手銀行と生命保険会社の8組織からのものであることが判明しています。
国内外のインパクト投資市場の動向
本報告書では、日本国内外におけるインパクト投資の最新の流れについても整理されています。国際的な動向としては、UNDPがGRI、GSG Impact、IFRS財団、ISOと連携してサステナビリティ情報開示・管理ハブを設立したことや、GIINが2024年度のインパクト投資市場を報告するレポートを発表したことなどが挙げられます。
国内においては、金融庁が「インパクトフォーラム」を開催したり、東京都が官民連携によるインパクトグロースファンドの創設を決定しました。また、政府の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」にインパクト投資の推進が盛り込まれるなど、政策的な後押しもあるようです。
これからの展望
今回の報告書は、日本国内のインパクト投資市場の現状を詳しく分解し、特にインパクト投資の定義や実施状況、インパクト測定及びマネジメント(IMM)についても焦点を当てています。そして、今後の市場発展に向けた課題も提起しています。
GSG Impact JAPAN National PartnerおよびSIIFは、引き続きインパクト投資促進のための調査研究や提言活動を行い、様々な関係機関との連携を図ることで市場発展に寄与することを目指しています。この報告書が、日本におけるインパクト投資のさらなる成長を促す一助となることを期待しています。
インパクト投資の重要性
日本においては、さまざまな社会課題が山積しています。インパクト投資はその解決に向けた一つの手段として注目されています。自助、公助、共助の枠を超え、社会的および経済的なリソースが循環する社会の実現を目指して、インパクト投資の推進がますます強く求められています。
まとめ
この調査報告書は、日本のインパクト投資の現状を伝え、将来的な市場の可能性を探る貴重な資料となっています。国内外での動向を受け、今後も注目していく必要があります。インパクト投資の発展が、持続可能な社会の構築に資することを願っています。