国際学会で認められたプロトタイピング研究
最近、アメリカ機械学会が主催する国際学会「IDETC-CIE 2022」で、Googleが支援したプロジェクトに関する論文が大きな注目を集めました。この論文では、創業メンバーへのインタビューや、通信ツールSlackを通じて収集した6339件のメッセージ、2GBに及ぶ画像データ、292ページにわたるドキュメントから得たデータを用いて、プロトタイピングの経済性について詳しく分析しています。
分析の内容と成果
論文内では、実施されたプロトタイピングの「所要時間」と「得られたデザイン情報」という二つの指標を用いた回帰分析が行われました。このアプローチにより、経済的価値の高いプロトタイピングとそうでないものを明確に区別できる結果が得られました。また、プロトタイピングの性質を「チーム内のみで行う」か「外部を巻き込む」かの視点で分類し、さらにその目的を「探索・具体化」と「確認」に基づいて二次元でマッピングしました。
この分析の結果、特に「チームの外も巻き込み」と「探索・具体化」のプロトタイピングが、経済的な効果が最も高いことが示されました。これはつまり、初期段階から外部ステークホルダーを巻き込むことで、より効率的なプロトタイピングが可能であるということを意味します。
アメリカ機械学会と国際会議の意義
アメリカ機械学会(ASME)は1880年に設立され、技術や科学を世界中で促進するために活動している非営利団体です。その中でも「International Design Engineering Technical Conferences & Computers and Information in Engineering Conference (IDETC-CIE)」は、エンジニアリングの分野において重要な国際会議であり、今回は特に民間企業におけるプロトタイピング経済性の研究が評価され、論文が採択されました。
書籍の発売について
また、この研究の内容をさらに深く掘り下げた書籍『失敗から学ぶ技術 新規事業開発を成功に導くプロトタイピングの教科書』が翔泳社から9月20日に発刊されました。この書籍では、プロトタイピングの重要性やその実用的な手法について、具体的な事例を交えながら解説されています。
S&D Prototyping株式会社の概要
本研究の執筆者である三冨敬太が代表を務めるS&D Prototyping株式会社は、東京都武蔵野市に本社を置くプロトタイピング専門の企業です。設立は2021年と比較的新しいながら、戦略的かつ迅速なものづくりを通じて、新規事業の開発を支援しています。同社は、最新の学術研究と実践を融合させて、クライアントに最適なプロトタイピングを提供することを重視しています。
PLAYERSの取り組み
さらに、プロトタイピングを通じた社会課題の解決を目指す一般社団法人PLAYERSも本プロジェクトに関わっています。彼らのスローガンは「一緒になってワクワクし、世の中の問題に立ち向かう」であり、様々な問題に対する共創型ワークショップを通じて、社会実装を推進しています。PLAYERSは、リサーチやアイディエーション、プロトタイピングをアジャイルに実行することで、社会問題の解決に貢献しています。