移住促進競争が顕在化する中での自治体の施策とその実態

日本各地の自治体において、移住促進策が進められている現状が国際大学グローバル・コミュニケーション・センター（GLOCOM）の調査によって明らかになりました。この調査では、全国1741の自治体を対象に「地方移住促進施策と地方創生の関連性」について実施され、429自治体からの回答を得ることができました。調査の結果、83.2%の自治体が何らかの移住促進施策を実施しており、その中での競争が激化する様子が浮き彫りになっています。

競争の激化とその影響

調査結果によると、89.6%の自治体が移住者獲得競争の高まりを実感しており、64.2%が国の移住促進方針や施策がその競争に影響を与えていると考えています。こうした状況は、地方創生政策の推進に対する自治体の反応として、移住者の確保に向けた様々な施策の実施を促進しています。実際には、移住促進に取り組んでいる自治体の半数以上が、事業を外部へ委託していることも特徴です。

移住施策の効果と課題

移住促進施策の効果については、全体の54.9%の自治体が「効果が大きい」と感じており、一方で44%の自治体は「効果が小さい」と認識しています。しかし、移住者の定義が独自にない自治体が47.9%に上り、これが施策の効果を測る上での障壁となっていることも問題視されています。加えて、最も多く取り組まれている施策は「空き家バンクの設置」であり、87.8%の自治体が実施していますが、その一方で移住後の定住段階に向けた支援が少ないことも課題とされています。

外部委託の実態

全体の44.0%の自治体が移住促進施策の一部または全部を外部委託している中、受託先の企業が東京都に本社を置く事業者が25.8%を占めるなど、首都圏の事業者依存が見え隠れします。この外部委託は、移住促進施策の効率を高めるために行われていることもありますが、成果が不明なままで何が求められているかの調査が不十分な現状も浮かび上がっています。

将来的な方針と施策の拡大

今後、84.8%の自治体が移住促進施策の規模を拡大または維持する方針です。これからの展望として、移住後の定住支援を強化し、独自の移住者定義を設けることが効果的な政策評価に繋がると、研究者たちは指摘しています。また、地方移住の実態把握を行う自治体は25.4%に留まっており、実態調査の重要性が求められています。

結論

この調査を基に、移住促進政策を展開している自治体には、施策の評価と、移住者獲得競争の高まりに対する適切な対策が必要です。また、国や各自治体が協力して、持続可能な地域社会の構築に向けた取り組みを強化することが求められます。今後も移住促進施策の実効性を高めるためには、地域のニーズを把握し、施策の改善に努める必要があります。