銀行と製鉄業の持続性
2024-10-03 12:40:16

日本の銀行が石炭依存の製鉄業を支援する現実とその影響

日本の銀行が石炭依存の製鉄業を支援しているという実態が浮き彫りになりました。みずほ銀行、三井住友銀行(SMBC)、三菱UFJ銀行、国際協力銀行(JBIC)など、主要な金融機関が、アルセロール・ミッタルや神戸製鋼、日本製鉄といった大手鉄鋼メーカーに対して、2016年から2023年6月までに370億ドル以上の資金を提供してきたことが、リクレイム・ファイナンスによる報告書で明らかになりました。

この報告書は、石炭を利用した鉄鋼生産の拡大を目指す企業への支援を見直すべきだと指摘しています。報告書では、気候変動への影響を考えると、化石燃料を使用しない鉄鋼の開発を推進する企業を支援すべきであり、それによって金融機関が果たす役割が重要だと述べています。

リクレイム・ファイナンスのシンシア・ロカモラは、「石炭を使用した鉄鋼生産に資金を提供し続けることは、環境問題や財務上のリスクが高い」と警告します。彼女は、カーボンフリーの鉄鋼の需要が増加していることや、グリーン水素を用いた製造技術が登場していることに触れ、大きな転換点が訪れていることを強調しました。石炭を基盤とした生産設備は、将来的に廃棄物として扱われるリスクを抱えており、投資の見直しが急務です。

さらに地球温暖化を抑制するためには、日本を含むOECD諸国が2030年までに鉄鋼生産における石炭使用を廃止する必要があるとされています。また、日本の高炉の59%は2030年に寿命を迎える見込みであり、鉄鋼メーカーはこの転換を進める絶好の機会にあります。

スティールウォッチのキャロライン・アシュレイも、鉄鋼生産からの石炭排除が気候変動対策にとって不可欠であり、これからの投資がその方向性を決めると語っています。彼女は、世界の多くの銀行がすでにエネルギーセクターにおいて石炭の将来性を疑問視している中で、鉄鋼業界でも同様の認識を持つことが重要だと訴えています。

リクレイム・ファイナンスは、銀行に対し原料炭を使用した鉄鋼生産への資金提供を制限することや、グリーン水素のような低炭素技術への支援を強化するよう求めています。また、高炉の新規建設や既存の高炉の延命に対する投資も行わないよう呼びかけています。

金融機関が環境問題に配慮した投資を行うことが期待される中、鉄鋼業界の将来は大きな岐路に立たされています。持続可能な製造方法への移行が進む中で、銀行が果たすべき役割が注目される今、業界の動向は目が離せない状況です。私たちは、より持続可能な未来を築くために、これからの投資の方向性を真剣に考え直す必要があるのかもしれません。


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SteelWatch Stichting
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Fluwelen Burgwal 58, 2511 CJ Den Haag, The Netherlands
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