女性事業承継者を支え合う新たな協働モデル
日本全国に広がる一般社団法人日本跡取り娘共育協会(跡取り娘協会)と、ミドルシニア向けの越境学習プログラムを展開するDialogue for Everyone株式会社(DfE)は、女性事業承継者の経営課題解決を目指し、互いに支え合う新しい協働モデルをスタートさせました。
女性経営者の現状と課題
近年、女性経営者の必要性が高まっている中、帝国データバンクの調査によると、全国の経営者の中で女性の比率はわずか8%にとどまっています。また、跡取り娘協会の会員企業でも多くが日々の業務に追われており、経営課題に取り組む時間がなかなか取れないのが実情です。特に、男性中心の経営者コミュニティでは、自らの悩みを共有しづらい環境が依然として存在します。
大人のインターンシップによるアプローチ
このような背景を踏まえ、DfEは大人のインターンシッププログラムを提供し、企業と都会で働く50代のミドルシニアが1on1の形式で協業します。オンラインで手軽に参加できるため、忙しい女性経営者にとっても負担が少なく、まずは取り組み始めるきっかけになります。これにより、経営者が長年抱えてきた課題に新しい視点を持ち込むことが期待されています。
取り組みの具体例
11月から始まった取り組みには、静岡県富士市の松本工業と株式会社NTTファシリティーズのパートナーシップがあります。地元「吉原」の空き家を活用した街づくり構想において、両者が協力して新たなコンセプトを構築していくプロジェクトが進行中です。また、茨城県つくば市の株式会社オヅ商会では、顧客管理システムの刷新のために、インターン生が実際にシステムの試験運用を行う事例もあります。これらの取り組みによって、課題解決へとつながる新たな道筋が見え始めています。
シニア世代の経験を活かす機会
このプログラムは、単なる企業間の交流にとどまらず、参加者にとって「社会で活かすキャリアの再構築」という意味合いも持っています。DfEの大人のインターンシップでは、参加者の行動変容が90%以上に達するなど、高い成果を上げています。これにより、経営者とミドルシニアの学び合いが生まれ、長期的な成長へとつながるでしょう。
「あとむすアワード」の設立
さらに、跡取り娘協会は家業を継ぐ女性経営者を対象にした「あとむすアワード」を新たに設立し、女性の事業承継における功績を評価し、地域経済への貢献を可視化します。このアワードは、2025年12月28日まで応募を受付中で、参加を通じて新たな女性リーダーが誕生することが期待されています。
結論
この連携は、女性経営者の抱える課題に対する新たな解決策を提供し、さらにはミドルシニアのキャリア形成にも寄与することが期待されています。今後、両者の協働がいかに発展していくか、ますます注目が集まります。地域の活力を生むために、女性の経営者が力強く成長できる環境を整え続けていくことが、未来への鍵となるでしょう。