心房細動治療の新たな革新
日本メドトロニック株式会社は、心房細動の治療において重要な進展を示す「Affera™ Mapping and Ablation システム」および「Sphere-9™ カテーテル」が薬事承認を受けたことを発表しました。このシステムは、心房細動の電気生理学的マッピングと薬剤抵抗性の心房細動、心房粗動の治療に用いられるものです。2025年6月からの保険診療での治療提供を目指し、準備が進められています。
心房細動とその影響
心房細動は、心臓における最も一般的な不整脈で、日本国内で100分以上、全世界で6,000万人以上の患者がいるとされています。この疾患は、脳梗塞や心不全、認知症のリスクを高めることが知られており、その症状には脈の乱れや胸の不快感、動悸などが含まれ、患者の生活の質に大きな影響を及ぼします。
現行の治療法とその課題
心房細動の治療法には薬物治療とカテーテルアブレーションがあります。特にカテーテルアブレーションは、カテーテルを用いて心房の異常な電気信号を焼灼することで、その流れを遮断する方法です。このアプローチは、熱エネルギーと非熱エネルギーという2つの方法に分けられ、各々が異なるリスクを抱えています。熱エネルギーを用いる場合、高周波電流などにより周囲の組織へのダメージが懸念されます。一方で、非熱的な方法であるパルスフィールド(PF)は、周囲の臓器損傷リスクを低減しますが、冠動脈付近での収縮のリスクがあります。そして、既存のPFアブレーションでは形状の制限が課題として残されていました。
Afferaシステムの特長
新たに承認されたAffera Mapping and Ablation システムは、RFアブレーションとPFアブレーションを同時に実現する高解像度マッピングカテーテルを搭載しています。このシステムは、異なるエネルギー源を治療部位に応じて選択できるため、合併症リスクを抑え、より安全な治療が可能になると期待されています。また、Sphere-9カテーテルの球状ラティスチップデザインは、解剖学的な制限を緩和し、治療の幅を広げています。
東京慈恵会医科大学の山根教授は、このシステムの普及が安全性の高い治療につながると期待を寄せています。
今後の展望
カーディアックアブレーションソリューションズの梅林ダイレクターは、「この新システムの承認が心房細動治療に新たな可能性を開く」と述べています。超高齢化社会の進行とともに、心房細動患者が増加する中で、メドトロニックは診断から治療まで、包括的な解決策を提供し、患者の健康維持に貢献していく方針です。
結論
もはや心房細動の治療で妥協は許されません。革新的な技術であるAffera Mapping and Ablation システムが、画期的な選択肢として多くの患者に恩恵をもたらすことが期待されます。今後の医療革命において、メドトロニックの貢献は計り知れません。