AI活用を目指す全国女性リーダー支援のための組織誕生

AIを活用した女性のリーダーシップを支援する新団体が誕生

2025年5月14日、東京都渋谷区において、一般社団法人Women AI Initiative Japan（以下、WAIJ）が正式に設立されました。この組織は、AIの力を利用して女性人材を育成し、日本の経済の競争力を高めることを目指しています。WAIJは、変化の激しい時代において、すべての女性が自分の意思でキャリアを選び、未来を切り拓くことができる社会の実現を目指しています。

設立の背景と目的

日本では、総務省の「労働力調査」（2023年）によると、労働力人口が減少している一方で、女性の社会参与はこれまで以上に重要な課題となっています。また、AIと自動化技術の進展は、特に事務職や定型業務に従事する女性に大きく影響していると指摘されています。これまでの性別による役割分担から、多くの女性がケア労働に従事してきた中で、AIによってルーティン業務が置き換えられるリスクも高まりつつあります。

しかし、このような挑戦は同時に、女性にとって新たな飛躍の機会でもあります。AIやデジタル技術は、これまでにはなかった新しい仕事の形態や働き方を生み出しており、スキルを獲得することで女性の可能性を大きく広げることができます。WAIJは、すべての女性が変化に備えるだけではなく、変化を受け入れて積極的に挑戦できる環境を整えることが、持続的な社会の成長には不可欠だと考えています。

WAIの活動と展望

WAIJは、有志によって立ち上げられた女性AIリーダー育成のコミュニティ「Women AI Initiative」を法人化したもので、2023年から学び合いと相互成長を重視した活動を展開してきました。今後は、企業や行政、教育機関など、多様な関係者と連携し、女性たちにリスキリングやネットワーキングの機会をより多く提供していく計画です。

2025年から2030年の間に、世界経済フォーラムの「仕事の未来レポート」によれば、現在のスキルの39％が使われなくなるとされています。このピンチをチャンスに変え、すべての女性が自らのキャリアを選択し、未来を切り拓くことができる社会の実現に向けて尽力していく方針です。

WAIの活動実績

これまでに開催されたイベントやプログラムの一例として、AI時代の女性のキャリアに焦点をあてた1Dayカンファレンス「Women's AI Day」があります。2025年3月には、東京イノベーションベースにて、副知事の松本明子氏をはじめとする31名の登壇者が参加し、AIの未来についての多様な観点からのトークセッションやピッチコンテストが行われました。このイベントには、400名以上の参加者が集まり、女性リーダー同士の新たなネットワーキングの機会も提供されました。

また、「RAISE HER」プログラムでは、東京都のSUTEAM事業に採択された女性AI起業家支援プログラムが展開されています。ここでは、生成AIに関するオンライン講座やハンズオンワークショップを通じて、業界専門家によるメンタリングを提供し、実際の事業化を支援しています。

理事陣の思い

代表理事の國本知里氏は、これまでの活動を通じて女性AIリーダーを育成し、今回の法人化によってより広範な学びとネットワーク形成を進めることの重要性を強調しています。理事の小島舞子氏は、AIの社会実装において多様な視点を取り入れる必要性を訴え、理事の高井志保氏は、生成AIの黎明期という現在、誰もが挑戦できるチャンスがあることを伝えています。

WAIJの未来への期待

WAIJが目指すのは、すべての女性がAIを通じてより良い未来を描ける環境を整えることです。多様な学習機会と実践の場を提供し、女性が自らのキャリアを選び、挑戦する力を育んでいくことが求められています。これからのWAIJの活動が、男性女性問わず多くの人々に刺激を与え、社会全体の変革を促す起爆剤となることを期待しています。