新型車載パワー管理IC SPSB100の登場
STマイクロエレクトロニクス(STM)は、自社の高集積プロセッサ向けに設計された新型車載用パワー・マネージメントIC「SPSB100」を発表しました。この製品は特に、車載マイクロコントローラ「Stellar」を使用するアプリケーションにおいて、柔軟かつ効率的な電力供給を実現します。
SPSB100の主な特徴
SPSB100の最も大きな特長は、起動シーケンスをプログラムでき、出力電圧と電流範囲を具体的なシステム要件に合わせて調整できる点です。このICは、車両内部の様々なユニットで広く利用できるため、その適応性は非常に高いです。具体的には、ゾーン制御ユニット(ZCU)、車両制御プラットフォーム(VCP)、ボディ制御モジュール(BCM)、ゲートウェイ・モジュールなどが挙げられます。
このICは、3つのスイッチング降圧コンバータと2つのリニア・レギュレータ(LDO)を備えており、それぞれが異なる電圧レールを供給します。外部の周辺機器やセンサーへの電力供給が可能で、非常に高い汎用性を誇ります。
安全機能と効率的な設計
SPSB100には、2つのウェイクアップ入力と先進的なフェールセーフ機能が搭載されており、信頼性の高い電力管理を行います。特に、内蔵のブースト・コントローラは負荷の変動が大きい状況でも電力供給を安定させるため、カーデザインやエンジニアリングにおいて重要な役割を果たします。
全ての降圧コンバータには、過電流検出や電流制限機能が備わっており、突入電流を防ぐためのソフト・スタート回路も組み込まれています。これらの機能は、最終的なシステムの安定性を高めることに寄与します。
出力電圧の選択肢
SPSB100の2つの降圧コンバータは、3.3V、5V、または6.5Vのいずれかの出力電圧で最大3Aの電流供給が可能です。また、3つ目の降圧コンバータは、微細な出力電圧(1.1Vから6.5Vまで)で最大6Aを供給できる能力があります。さらに、固定出力電圧のLDOも搭載され、ユーザーのニーズに応じた出力を提供します。
深いスリープモードとセキュリティ
このICはまた、静止電流を40µA未満に抑えることができる「ディープ・スリープ・モード」を搭載しています。これにより、電力効率を大幅に改善し、車両のバッテリー寿命を延ばすことが可能です。加えて、通信障害やマイコンリセット、過熱警告のために専用の割込みピンも用意されています。これらはすべて、 ISO 26262機能安全規格に準拠しており、自動車用安全度水準(ASIL)を満たすためのドキュメントも提供されています。
多様な設定が可能
SPSB100は完全に設定可能ですが、事前に設定された構成として「SPSB100B」と「SPSB100P」の2種類が用意されています。前者はコアに直接電力を供給する設計であり、後者はマイコンの内部切替用電源に給電します。
技術的利点と価格
このICはAEC-Q100準拠で、現在VFQFN56パッケージ(8 x 8mm)で入手可能です。価格は、1000個購入時で約2.40ドルと、コストパフォーマンスも優れています。
STマイクロエレクトロニクスは、このような先進的なパワー管理ソリューションを通じて、顧客やビジネスパートナーとの協力を深め、持続可能な社会の実現に向けて努力しています。興味のある方は、ぜひSTのウェブサイトを訪れてさらなる情報をご覧ください。
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