香取台どろんこ保育園が創るインクルーシブな未来
茨城県つくば市に位置する「香取台どろんこ保育園」が、第18回キッズデザイン賞の「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」に輝きました。この賞は、子どもたちが安全に暮らす環境を整えることや、感性豊かに育つためのデザインを評価したものです。
多機能型施設の実現
香取台どろんこ保育園は、認可保育園、児童発達支援、学童保育室、放課後デイサービスの4つの機能を持つ、日本初のフルインクルーシブ施設です。この施設は、全ての子どもが障害の有無に関わらず、共に遊び、育つことができる環境を整えています。2023年4月に開園したこの保育園は、隣接する小学校との連携も考慮されており、地域とのつながりを大切にしているのも特徴です。
自然と食育の環境
園庭は広大で、子どもたちは日々、自由に走り回り、虫を探したりすることができます。さらには、園内には田んぼや畑が整備され、食育活動が日常的に行われています。子どもたちは自らの手で育てた作物を食べることで、自然とのつながりを深めています。
フルインクルーシブ保育の実現
香取台どろんこ保育園の保育室は、年齢や障害の有無によるクラス分けがなく、まるで大きなリビングのような設計です。どろんこ会は、2015年からインクルーシブ保育の実践に取り組んできましたが、これまでは部屋を仕切る壁が要求されることが多く、自由な交流が困難だったのです。しかし、様々な協議を経てついに、全ての子どもが共に過ごせる環境を整えることに成功しました。
子どもたちの成長を支える環境
香取台どろんこ保育園では、子どもたちが自分自身で遊びたい場所や相手を選ぶことができ、また、異なる特性の子ども同士の交流を促進しています。このような環境は、子どもたちが「他者との協働」「感情のコントロール」「目標の達成」といった社会性や非認知能力を養うために重要です。分けられた環境では育めない「生きる力」を、全ての子どもが共に育てていくことができるのです。
キッズデザイン賞の意義
キッズデザイン賞は、子どもたちが安全に暮らし、感性豊かに成長できる社会を作るため、優れた製品やサービス、環境、活動などを広く紹介することを目的に設立されました。多くの団体が参加し、その中から特に優れたデザインが選ばれます。
おわりに
香取台どろんこ保育園の取り組みは、全国の子育て環境に新たな道を示しています。この保育園は、地域社会における子どもたちの教育と成長をサポートするだけでなく、全ての子どもが共に育つインクルーシブな社会を実現するための模範となるでしょう。このような保育施設が増えることを願っています。