半導体人材育成における日印連携の促進
2023年7月7日から7月11日まで、独立行政法人国際協力機構(JICA)は、インド中央政府および州政府の半導体産業担当者や大学教授7名から成る訪日団を九州・東北地域に迎えました。この訪問は、日印の半導体市場の拡大とともに技術者不足を共通の課題として捉え、今後の協力関係を築くための取り組みの一環として行われました。
背景と市場の重要性
インドではA.Iやスマートフォン、自動車部品など、幅広い分野での半導体需要が急増しています。特に、最近の報道では、アップルがインドから出荷したiPhoneが中国を上回るなど、「脱中国」の流れが強まっていることが報じられています。このような状況に対処するため、インド政府は「インド半導体ミッション(ISM)」を設立し、半導体産業の育成に向けて政策的な支援を強化しています。
この流れを受けて、日本の半導体関連メーカーもインド市場に進出を計画しており、JICAは「インド国日印半導体サプライチェーン情報収集・確認調査」を2024年に実施する予定です。今後の新たな協力関係を構築する中で、インドの技術者育成に向けた具体的な体制を築くことを目指しています。
各地域での視察活動
訪問団はまず、北九州産業学術推進機構(FAIS)を訪れ、半導体技術者育成に関する取り組みを学びました。FAISでは、クリーンルームを用いたハンズオン研修が展開されており、インド側からも高い関心が寄せられました。特に、インド中央政府からの代表者は、北九州市の優れた教育施設を活用した更なる協力を期待していると表明しました。
次に訪れた九州大学では、教授陣から半導体研究の現状について説明が行われました。両国間での技術交流や留学プログラムの実施についても意見交換が行われ、さらに具体的な協力の可能性が広がりました。
福岡市の福岡半導体リスキリングセンターでは、企業ニーズに応じた半導体教育プログラムが実施され、訪問団から多くの質問が飛び交う活発な議論が展開されました。
その後、東北大学では、大学の半導体研究とインドにおける政策、工場建設の状況についての説明が行われ、将来の共同研究に向けた意見交換が進みました。
最後に岩手県庁で行われた表敬訪問では、アクセス可能なインフラや地域の産業団体との連携を強調し、インドとのさらなる協力の可能性が話し合われました。
JICAの役割
JICAは、日本が世界における国際協力を推進する中で、技術協力と資金援助を通じて発展途上国の課題解決に寄与しています。今回の訪問を成功させることで、日印の半導体産業の協力関係を深化させ、共に繁栄する未来を描くことが期待されます。
以上が、インド政府関係者および大学教授による九州・東北地区訪問の概要です。今後もその実りある成果が、両国の半導体分野における技術者育成や産業振興に繋がることを期待したいです。