医療DXを推進するメドレーの最新動向と取り組み
株式会社メドレーは、2023年8月8日に医療プラットフォーム業界に関する合同記者レクを開催しました。このイベントでは、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する最新の状況やメドレーの推進する取り組みについて、専門のマネジャーからの説明が行われました。
1. 日本の医療の現状と医療DXの必要性
メドレーの法務コンプライアンス統括部政策渉外部長、篠崎智洋氏の発表によると、日本の医療制度は国民皆保険制度を基盤としており、これは医療費負担を軽減するための重要な仕組みです。しかし、設計当初から60年以上が経過する中で、人口や疾患構造が大きく変化し、現在では公費への依存度が高まっています。
OECD(経済協力開発機構)のデータを基にすると、日本における医療サービスの受診回数は他国に比べて非常に多く、医師数は平均を下回っていることが明らかです。これにより、医療従事者は過重な負担を強いられています。こうした現状の中で、医療の質を維持しつつ効率化を進めるために必要とされるのが医療DXです。
医療DX取得の遅れ
日本においては、電子カルテの導入率が2020年の時点で50%であったのに対し、ノルウェーやアメリカではそれぞれ95%以上、86%と、他国と比較して大きく遅れをとっています。このデジタル化の遅れが、医療の質向上への道を阻んでいるのが現状です。
2. 政府の医療DX推進方針
新型コロナウイルス感染症への対応に際して、日本政府は医療のデジタル化を推進する必要性を認識し、医療DX推進本部を設置しました。2023年には「医療DXの推進に関する工程表」が策定され、5つの具体的な施策が示されました。この一環として、2024年には健康保険証の発行が廃止され、マイナンバーカードを活用した新しいシステムへの移行が進められます。
特に、電子カルテや電子処方箋の普及が強調されており、2025年までに広がる見込みです。しかし、実際には導入のハードルが高く、政府の支援が極めて重要です。
3. メドレーの事業展開
メドレーは、「医療ヘルスケアの未来をつくる」というビジョンのもと、医療のデジタル化を推進しています。特に「CLINICS」というクラウド診療支援システムは、病院や診療所の業務を効率化し、オンライン診療が可能なプラットフォームとして注目を集めています。
CLINICSの主な機能
CLINICSは、電子カルテ、レセプトコンピューター、予約やオンライン診療の機能を一体化しています。これにより、医療機関の業務効率を高め、患者にとっても利便性の高いサービスを提供しています。
4. 患者向けアプリの進化
さらに、患者向けの総合医療アプリ「CLINICS」も好評です。このアプリでは、自宅などから医師の診察を受けられるほか、処方薬の配送、オンライン服薬指導など、医療体験を向上させる多様な機能が搭載されています。特に、コロナ禍を経てアプリのダウンロード数は約24倍に増加しており、多くのユーザーに支持されています。
5. 連携と多様なサービス
加えて、メドレーはUber EatsやAmazonファーマシーと連携し、処方薬の当日配送やオンライン服薬指導の実現を進めています。これにより、患者はより迅速かつ便利に医療を受けられる環境が整っています。
今後もメドレーは、医療DXを中心に新たな技術を取り入れ、持続可能な医療の実現に向けた取り組みを加速していく予定です。