沖縄美ら海水族館が繁殖に成功したクロコショウダイ
沖縄美ら海水族館が世界初となる「クロコショウダイ」の繁殖に成功し、新たに「サンゴ礁への旅」と呼ばれる個別の水槽で稚魚の展示を始めました。これにより、同水族館ではクロコショウダイの生態や繁殖行動についての新たな知見が得られることが期待されています。
繁殖の経緯と稚魚の特徴
クロコショウダイは、2018年7月に全長2.5cmの個体が沖縄本島北部から搬入され、約7年間にわたって継続的に飼育されてきました。この間に親魚は成長し、全長40cmに達するまでになりました。飼育しているオス2個体とメス1個体の間で、特に2023年にはオス同士が口を合わせる行動が見られ、その後6月に初めての産卵が確認されました。
稚魚は孵化直後は半透明な体色をしており、全長が約5mmになると徐々に黒褐色に変わります。また、鰓蓋棘が発達することも特徴です。
クロコショウダイの生態
この魚はイサキ科に属し、英名では「Harry hotlips」と呼ばれています。日本国内では千葉県から琉球列島の太平洋側にかけて分布し、最大で全長45cmに達します。成魚は主に暗灰色で模様はないものの、食用にもなる魚です。沖縄県では流通は限られていますが、幼魚は内湾や河口に生息し、成魚はサンゴ礁域を好んで生息しています。
将来に向けての期待
今回の繁殖成功は、クロコショウダイに関する研究の重要な一歩になります。繁殖行動の観察や発見された成長過程は、今後の種苗生産や養殖技術の発展に寄与するといわれています。沖縄美ら海水族館では、こうした結果を生かし、さらに海洋生物の繁殖研究を進め、産業振興にも寄与していく意向を示しています。
沖縄美ら海水族館の使命
沖縄美ら海水族館は、沖縄本島北部において持続可能な観光と地域振興の拠点となることを目指しています。沖縄の生物多様性を再現し、地域の海の価値を次世代に継承することが使命です。希少生物の保全や繁殖研究を通じ、科学的知見に基づいた質の高い教育を提供しています。その理念を表す名称の“ちゅら”は、「美しい」「清らか」を意味し、文化的な影響を強く受ける沖縄を象徴しています。
海洋博公園との連携
なお、沖縄美ら海水族館は国営沖縄記念公園の一施設としてあらゆる活動を行っており、沖縄の「太陽と花と海」というテーマのもとで、持続可能な生態系の保護と教育活動を推進しています。これらの取り組みにより、沖縄の豊かな自然環境が将来にわたって守られることが期待されています。