酸素同位体比の新技術
2025-02-25 14:13:14

大気中酸素の同位体比を使用した新たな気候変動予測法の確立

大気中の酸素同位体比がもたらす新たな知見



最近、国立研究開発法人産業技術総合研究所を中心とした研究チームが、大気中酸素の安定同位体比「δ18Oatm」の日内・季節・経年変動を観測することに成功しました。この発見は、環境科学の分野で非常に重要な意義を持つものです。古くから、O2やCO2の濃度変動は生物活動や化石燃料の消費を反映していると言われていますが、その詳細なメカニズムを解明する手法が求められていました。

研究の背景と方法



この研究の成果は、つくば市における10年間の観測データに基づいています。大気中の酸素は主に2種類の安定同位体、16Oと18Oから成り立っていますが、化石燃料が消費される際にはこれらの同位体が区別なく使用されるのに対し、生物の呼吸では16Oが優先的に消費されます。また、光合成では水と同じ同位体比のO2が放出されることから、さまざまな生物活動による影響を同位体比を通して知ることができるのです。

この研究では、δ18Oatmの日内変動を分析するために、酸素の濃度変化を生物活動由来と化石燃料由来に分ける手法を提案しています。こうした日内変動を正確に定量化することにより、気候変動の予測につながる新たな指標が確立されることが期待されています。

δ18Oatmの長期的な影響



同位体比の季節変動や経年変動を観測することで、研究チームは、生物活動の長期的な影響を評価する方法を提唱しています。これにより、今後の温暖化対策や適応策の立案に必要なデータが得られると考えられています。実際に、観測データからは、夏季には生物活動が活発で、光合成と呼吸によってO2とδ18Oatmの関係が逆位相であることが示されました。

今後の展望



この研究成果は、今後の気候変動予測における重要な指標となるでしょう。さらに、国際的な研究機関との提携を通じて、伝播性を持たせ、広域におけるO2、CO2の分析を進めていくことが期待されます。最終的には、長期的にこのデータを使用することで地球の環境保全に寄与することが望まれています。この新しい手法がどのように応用されるのか、今後の研究動向に注目が集まります。


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