ABLICが新しい電圧監視ICを発表
エイブリック株式会社(ABLIC)は、電動工具やその他のデバイス向けの新しい電圧監視ICを発表しました。この新製品は、LEDバッテリー残量表示の利便性を高め、特にマイコンを用いないために低消費電力を実現しています。新たに登場した「S-82F9シリーズ」と「S-82D9シリーズ」は、それぞれ5灯用と4灯用のICで、簡単にバッテリーの残量を表示することが可能です。
1. 省エネと省スペースの実現
従来のバッテリー残量表示方式では、特にディスクリートコンポーネントを用いる場合や、マイコンを利用すると、部品数が多くなり、基板のスペースを大幅に占有してしまっていました。そのため、コストやスペースの面でのデメリットが存在しました。しかし、ABLICの新しいICはこれらの問題を解消するために開発されました。
「S-82F9」シリーズは、最大5灯のLEDを点灯できる能力を持ちながら、効率的な電圧監視が可能です。それに対し、「S-82D9」シリーズは4灯用に最適化されており、用途に応じて選択が可能です。この新製品の導入により、ユーザーは必要なLED数に応じた最適なICを選ぶことができるようになっています。
2. 高機能ICの特徴
この新しいICラインナップの最大の特長として、2つの異なる端子が挙げられます。特にAシリーズにはEN端子が搭載されており、LEDが未点灯のときにはICをオフにして消費電流を最小限に抑えることが可能です。これにより、バッテリー駆動の機器の省エネ効果が高まります。一方Bシリーズには、外部部品との結合で高電圧監視が可能になるSENSE端子が組み込まれています。
2-1. LEDの点灯方式
新たに導入されたLED点灯方式は2種類あり、これによりさらに柔軟性が向上しました。1つ目は「Full charge all on」方式で、バッテリーの電圧が一定の範囲内にある場合にすべてのLEDを点灯させ、残量の視認性を高めることを目的としています。もう1つは「Individual step voltage on」方式で、必要なときにだけ特定のLEDを点灯させることができ、無駄な消費を抑えることが可能です。
仕様について
新製品の主要な仕様は次の通りです:
- - 検出電圧の範囲は7.5Vから21.5V、誤差は±1%。
- - 動作時の消費電流は最大10μA、パワーオフ時の消費電流は最大0.1μA。
- - AシリーズはEN端子でICのON/OFFを制御でき、高電圧監視はBシリーズのSENSE端子で可能です。
- - 動作温度範囲は-40℃から+85℃で、多様な利用シーンに適応できます。
3. 環境貢献でグリーンプロダクツに認定
この新しい電圧監視ICは、環境貢献に優れた製品としてミネベアミツミグループの「グリーンプロダクツ」に認定されています。持続可能な技術の発展を目指し、ABLICは今後も高精度で高機能のIC展開を進めていく方針です。
用途例
新たに導入されたICは、リチウムイオンバッテリーやリチウムポリマー二次電池パック、電動工具や電動自転車、スティッククリーナーなどさまざまな用途に利用可能です。
まとめ
ABLICの新しい電圧監視ICは、省エネ性能と省スペース性を兼ね備えた魅力的なアイテムです。今後の製品展開にも注目が集まります。