企業の調達におけるサステナビリティ調査レポート公開
株式会社クニエが2025年3月28日に発表した調達領域におけるサステナビリティ調査レポートは、温室効果ガス(GHG)排出量の削減と人権デュー・デリジェンスに関する企業の取り組み状況を詳細に示しています。企業が抱える課題として、どのように取り組むべきかが注目される中、調査結果は多くの示唆を与えています。
調査の目的と内容
本調査は、調達サステナビリティの重要性が増していますが、企業がその取り組みにおいて困難を訴えている現状を踏まえ、実施されました。調査は、主に二つのテーマに分かれています。
1.
Scope3 GHG排出量削減
2.
人権デュー・デリジェンス(人権DD)
これらのテーマについて、調査対象となったのは1,000社以上の企業で、調査期間は2024年11月28日から12月4日まで行われました。
Scope3 GHG排出量削減の実績
調査によれば、70%の企業が取引量の多い一次サプライヤーまでのGHG排出量の可視化を実施しているものの、二次サプライヤー以降についてはまだ取り組めている企業は少数です。また、GHGの取り組み結果を取引に反映させている企業は75%にも上りますが、半数以上の企業は算出方法をサプライヤーに一任しているため、算出ロジックの透明性が欠けているという課題も浮き彫りになりました。
課題の認識
特に、自動車・輸送機器業界や食品・医薬・化粧品業界では、二次サプライヤー以降の可視化が進んでいる傾向にありますが、他業界ではまだまだ不十分です。クニエは、グローバルな潮流として日本でもサステナビリティ基準が求められる中で、早期の情報開示やGHG削減努力が必要だとしています。
人権デュー・デリジェンスの実施状況
人権DDについては、87%の企業が一次サプライヤーに対して実施しており、実施率は向上していますが、二次サプライヤーへの展開には課題が残っています。特に、32%の企業しか国内サプライヤーに対して実施できていない現状からも、この分野の重要性について再認識が求められています。
実施結果の反映
調査の結果、88.1%の企業が人権DDの結果を日常の調達活動に活用していますが、45%は出演結果に基づき非協力的なサプライヤーとの取引を減らす措置も講じていることが分かりました。これは、企業が持続可能な調達方針への改善を進める大きな前進です。
クニエからの提言
クニエは今回の調査結果をもとに、サプライチェーン全体のGHG排出量や人権DDの可視化・実施範囲の拡大が今後の課題であると指摘しています。また、サプライヤーとの関係構築、選定方法の再考、およびそれらのシステム化が効率的な運用を可能にするとの見解を示しました。
最後に
調査レポートは、今後の企業のサステナビリティへの取り組みを考える上での貴重な資料となるでしょう。具体的なセミナーも開催予定で、詳細な調査結果が共有される見込みです。サステナブルな調達は、企業の社会的責任を果たす上でも一層重要性を増していくでしょう。