フィリピンでの音楽教育普及に向けた取り組み
【背景と目的】
ヤマハ株式会社は、フィリピンにおける初等音楽教育支援を推進しています。この取り組みは、文部科学省と独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力により実施されています。2015年から展開している「スクールプロジェクト」の一環で、世界中の子どもたちが音楽を通じて豊かな心を育む社会を目指しています。
【システムと成果】
フィリピンにおいて、特に注目されているのは、浜松市とダバオ市の協力による音楽教育の試験導入です。2024年12月からダバオ市の公立初等学校に通う約720名の児童を対象に、リコーダーを使った音楽教育が始まります。新しい国定教育カリキュラムによって音楽教科が縮小されていますが、音楽を通じて21世紀スキルを育成することが求められています。
【EDU-Portニッポンについて】
本プロジェクトは、文部科学省が進める「日本型教育の海外展開(EDU-Portニッポン)」というプロジェクトに採択されています。これにより、フィリピンでの音楽教育の質を向上させるための官民協働が実現しました。過去には、ベトナムやエジプト、ブラジルなどでも同様のプロジェクトが成功を収めており、フィリピンでの取り組みが期待されています。
【JICAとの覚書締結】
2025年7月25日、ヤマハとJICAはフィリピンにおける音楽教育の普及を目指した連携覚書を締結しました。これにより、両者は協力して音楽教育を通じて「非認知能力」の育成と教育の質の向上を図ります。主な活動には、フィリピン教育省による視察や音楽教育の効果測定などが含まれます。
【持続可能な開発目標(SDGs)との関連】
ヤマハの「スクールプロジェクト」は、持続可能な開発目標(SDGs)にも寄与するもので、子どもたちの教育環境の向上や非認知能力の育成を重視しています。音楽教育は、単に楽器を演奏する技術を教えるだけでなく、平和や公正の目指す社会の構築にも寄与する重要な要素です。
【今後の展望】
今後、ヤマハは文部科学省やJICAと連携しながら、フィリピンの音楽教育をさらに進め、持続可能な社会の実現に貢献していく予定です。音楽を通じた教育が持つ可能性を最大限に引き出し、フィリピンの子どもたちに新たな未来を切り拓く機会を提供していくことが期待されています。
音楽教育の普及は、国際的な協力なくして成し遂げられない大きな挑戦です。ヤマハの取り組みが、他の国々にも広がり、多くの子どもたちに明るい未来を提供することを切に願っています。